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介護保険と在宅介護のゆくえ63 「介護度の改善」を介護保険の目標にしてはいけない

2017年6月21日(水) 配信
1.介護保険法が国会通過
「3割負担導入の前に、2割負担の生活への影響を調査する必要がある」と国会で意見を申し上げたが、介護保険法が可決された。これから月2回のペースで具体的なサービス内容、運営基準、介護報酬が論議され、12月末には来年4月からの介護保険制度と報酬改定の案が出される予定である。

2.介護度改善、認定率低下、給付削減の「成果」で交付金は利用者を追い詰める
介護保険の目的を「介助サービスから自立支援」に移行し、自立の目標を市町村ごとに介護保険事業計画で立てさせ、結果の公表を義務化し、介護度の改善や認定率の低下、介護給付の削減成果に応じて交付金を出す「財制インセンティブ」が介護保険法で成立した。今後、成果を何をもって誰が判定し、いくらの交付金を付けるのかが論議される。

加齢と疾患、認知症などで市町村が「介護が必要」とした人が、人間らしく生活継続できるようにするのが介護保険である。「自立の強要」は事故につながり、利用者や家族、事業者を追い詰めかねないのである。

日本社会福祉士会のアピールでは、サービスを使うことで「改善できない人」とされることへの懸念が、またそれが、地域ケア会議で利用者の参加がなく進められることへの問題指摘がされた。大いに賛同するとともに、今後の介護保険制度の論議に、現場の声を反映させることが大切である。利用者の実態を明らかにし、論議に反映させよう。サービス事業者の連携が不可欠である。経営が厳しくなると「自分だけが生き残る」ことに走りがちであるが、サービス事業者の分断、ケアマネジャーの分断は、国への問題提起の力を分断させ危険である。

3.介護の虐待が増えている
2015年度は養護施設等の専門職による虐待が36%と急増した(厚生労働省の高齢者虐待防止法調査)。原因のトップは「教育・知識・介護技術の問題」であり、2番目に「職員のストレス感情コントロールの問題」が挙げられている。

退院が進み医療ニーズが増え、「特養入所は要介護3以上」など入所者の重度化が進む中で、介護職の不足と定着困難な現状が利用者も介護職も追い詰めているのである。介護職の平均賃金は全産業平均と比較して月額で10万円ほど低いが、人に向き合う仕事でスピードばかりを求めることができない仕事である。

食事を急がせれば誤嚥し、急いで歩かせると転倒するのである。「ゆとりある介護」が必である。介護行為が増える分、「自分のペースで行動する自由」を制限せざるを得ない現場の苦悩が、虐待の急増から読み取れる。この現実の改善が今後の論議で必要である。

4.訪問介護の「ローシフト」を許さない
在宅でも介護者による虐待も増えている。原因のトップが「介護疲れ、介護ストレス」である。

介護給付費分科会で今後、論議される「介護保険法の改正に伴う、生活援助を中心にサービス提供を行う場合の人員基準の見直し等について検討」では「生活援助」の報酬単価を大幅に削減し、「無資格者でも良い」などと基準緩和することが予測される。

前回のマイナス改定で訪問介護事業所の47・6%が赤字経営であり、「人材不足倒産」が危惧される現状に必要なことは、「人に向き合う仕事の評価」であり、ヘルパーが生活し、子育てできる「まともな報酬」を付けることである。そうすることが家族の介護離職を減らし、介護ストレスによる「虐待防止」につながる。

今後の論議に対して、現場から大いに発言していこう。
(出典:シルバー産業新聞)

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