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介護機器助成 要件に離職率低下・生産性向上

2017年5月8日(月) 配信
上限300円変わらず 人材定着へ実績を評価
雇用管理の改善を推進し、人材定着・確保と魅力ある職場の創出をめざす厚生労働省の「職場定着支援助成金」のうち、腰痛等の負担軽減となる介護・福祉機器の導入費用を助成する「介護福祉機器等助成」に、離職率低下と生産性向上要件が新たに加わった。機器活用による人材定着・職場改善がより厳正に求められる。達成度によっては改定前より助成額が増加するケースも。予算規模は2016年度の1・6倍にあたる46億円を計上している。

これまでは、介護職員の身体的負担の改善度を支給要件としていた介護福祉機器等助成。今年度からは「介護福祉機器助成コース」へ改称し、従来の「機器導入助成」と、離職率低下・生産性向上が要件の「目標達成助成」に分かれ、両方を満たした場合にのみ上限300万円まで助成を受けることができる。事業所全体の職場環境改善結果が、明確な数値で評価されることになる(表1)。

事業規模別に離職率改善値
離職率低下の要件は、機器導入計画申請日から遡った1年間の離職率と、導入計画終了日から1年間の離職率を比べ、どの程度低下しているか。事業所の人員規模によって目標値は異なり、被保険者数1〜9人の事業所は15ポイント、10〜29人は10ポイントなどとなっている(表2)。

例えば20人の事業所で4人が離職(離職率20%)していた場合、離職率低下の要件は20%―10%=10%以下、つまり2人以下としなければならない。なお、離職率低下の要件が0%を下回る場合や、新規事業所等で低下前の離職率が算出できない場合は、「離職率0%」が要件となる。

離職率の計算方法は、雇用保険被保険者数のうち、離職で同保険者資格を喪失した人の割合。定年退職や重責解雇等の離職者は含まない。

また、生産性向上の要件は、機器導入助成の支給申請を行った年度の生産性が、その3年前と比較し6%以上伸びていること。生産性の計算方法は▽営業利益▽人件費▽減価償却費▽動産・不動産賃料▽租税公課――を足した額を、雇用保険被保険者数で割って出す。

一方、従来の機器導入助成は導入計画を都道府県労働局に申請、認定を受けた上で機器を導入し、計画した3カ月〜1年の期間で効果の把握を行う。計画期間終了までに介護従事者へアンケートを実施し、「身体的負担が大きいと感じている職員数の改善率」が60%以上の場合は機器導入関係費用を、「身体的負担軽減に資する作業方法が徹底された職員数の改善率」が60%以上の場合は介護技術研修費用が支給対象となる。

機器導入関連費用には保守契約費も含まれる。介護技術研修費用には、身体的負担軽減を図る研修費、医師や介護福祉士、セラピスト等の有資格者を講師に招聘した際の謝金も含めてよい。さらに、感染症対策やコミュニケーションに関する研修を併せて実施した場合、その費用も対象となる。

最大60%助成も可
機器導入助成は導入費用の25%(上限150万円)を助成。目標達成助成は、離職率低下と生産性向上の両方を達成した場合に導入費用の35%を、離職率低下のみ達成した場合は20%を助成する(いずれも上限は150万円)。したがって、機器導入助成と合計すると、最大で60%の助成を受けることも可能だ。

ただし、機器導入・目標達成の各助成上限は150万円なので、計300万円までの助成上限は改定前と同じ。例えば導入費用が600万円の場合、離職率と生産性を達成すれば600万円×35%=210万円だが、上限150万円で頭打ちとなるため、機器導入とあわせた助成額は300万円で改定前(600万円×50%=300万円)と変わらない。

目標達成助成の要件を全てクリアする前提で、改定前より助成額が増額するのは、導入費用が約428万円以下の場合。

車いす体重計など対象外に
助成対象の介護・福祉機器については、自動排泄処理装置と車いす体重計が対象から外れ▽移動・昇降用リフト▽自動車用車いすリフト▽エアマット▽特殊浴槽▽ストレッチャー――の5品目となる。機器はいずれも1品10万円以上に限り、5品目の詳細条件に変更はない。

また、助成金を申請できる事業所についても変更はなく、介護保険サービスは福祉用具事業所を除き全て対象。介護予防・日常生活支援総合事業も含まれる。ほかには障害福祉サービスや障害児通所・入所施設も申請可能としている。

過去に職場定着支援助成金または09〜14年度の関連助成金の支給を受けている場合は、導入事業所(雇用保険適用事業所単位)の支給累計額が300万円未満、かつ導入計画申請時に前回の支給決定日を過ぎていることが要件。累計額が300万円に達している場合は、最後の支給決定日の翌日から3年を経過している必要がある。

特殊浴槽・リフト好調 16年度の運用実績(17年2月末時点)は、計画認定までが2879件で、金額にすると48・3億円。うち支給決定は2494件で40・3億円にのぼる。都道府県別では計画認定、支給決定数ともに大阪がトップ。支給決定189件は全国の7・6%を占める。

また、支給決定分を機器別の台数でみると、特殊浴槽が1859台で、15年度に続いて最多。移動・昇降用リフト1103台と続き、15年度に追加されたエアマットが908台で3番目に多い。今年度より対象外となる車いす体重計は370台、自動排泄処理装置はわずか9台だった(表3)。

職場定着支援助成金は2009年に「介護労働者設備等整備モデル奨励金」として創設し、今年9年目を迎えた。うち介護福祉機器等助成は初年度6億2600万円でスタート。特養などの介護施設を中心に、特殊浴槽やリフト等の導入が促進されてきた。今年度予算は16年度の1・6倍にあたる46億円を計上。

同省では、次期介護保険制度改正で自立支援・重度化予防に対する市町村への交付金を検討。また、介護報酬改定ではロボット・ICT導入に対する人員要件緩和・加算なども議論している。実績評価や、機器導入による負担軽減の取組みが促進されつつある。
(出典:シルバー産業新聞)

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