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支える現場を踏まえて89 介護事故がなぜ起きたのか、チームとして探ることが重要

2017年6月9日(金) 配信
3月のある日の夕方、故郷の秋田県から講演依頼を受けて、羽田から秋田へと向かった。 当日の研修の演題は、「リーダー・中堅職員のマネジメント能力の向上〜若手職員が介護を楽しみ、生き生きと活動できる組織を作る」だった。介護職員不足が叫ばれ、介護の大変さばかりがクローズアップされている。介護の楽しさ、やりがい等ということを経験しないままに、退職してしまう職員が多いと感じていることから、このテーマとした。

当日は、職場での核となる方々が参加していた。午後の演習の一番目は「介護の場での困りごとを話してみよう、聞いてみよう」として、二番目に「介護の場での困りごとを解決しよう」とした。困りごとを解決しようとする話し合いの際に、キーワードとしてアセスメント、知識、経験の構築が出てくることを期待していた。

「話し合いの前に、小規模多機能型居宅介護ひつじ雲で起きた事故について触れさせてもらいます。その理由は、今回のテーマに繋がるものだからです。事故が起きると『次から何度もお部屋の様子を見て、同じような事故を起こさないようにします』と、担当した職員一人が事故報告書に記載する例を見てきました。職員みんなで考えることが大切なのです。職員一人ひとりの考えようとする姿勢が、その行動によって身につくようになるのです」と前置きした。

その日の泊まりの利用者は4人。朝方、夜勤職員が朝食の準備を始めていた時、「ことん」と音がして、ドアを開けるとA子さんが「動けない。足が痛い」と職員に訴えたと言う。緊急連絡網を基に管理者に電話をし、駆け付けた管理者は様子を見て救急車を呼び、同乗して病院へ向かった。右鼠径部骨折と診断され、ご家族への連絡・謝罪、そして、その日うちに手術を行った。

外出することが大好きなA子さん。しばらくは歩けないな、つらいだろうなと、そんなことばかりを職員たちは思い描いた。 その後、話し合いを行った。ベッドから落ちたのか、立ち上がったときに転倒したのか、A子さんの話からは事実関係が良くわからない。介護事故は誰かの責任として解決するものではないと思っている。なぜ、事故が起きたのか、その原因を探ろうとするチームの協力体制が必要だ。

13年前に以前のひつじ雲で、朝食後、椅子からずり落ちたお年寄りが大腿部にひびが入り、半年くらいリハビリが必要になったことがあった。今回の事故と同様に、本人の生活のしづらさ、ご家族の介護負担に対し、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

一方で、夜勤だった職員の気持ちを推し量ることを忘れず、一人の職員に責任を負わせないようにと配慮しながら、事故を起こさないために、その原因や対策を時間をかけて皆で話し合った場面が思い起こされた。

その時、組織の代表として決意した。人は事故を起こさないように最大の配慮をしていても、100%完璧ではない。それなら、次に事業所を移した時には、床材は骨折等に繋がらないような材質を選択しようと思った。実際には、フロア等床材を相当検討したが、宿泊する方々の個室にその配慮が足りなかったと悔いた。 聞き取りで、自宅では敷布団で横になっていることがわかった。娘さんから「起き上がる際、ふらつきがあるので、あちこちに手を着いて動いてますよ」と、朝の様子を伺うことができた。それなら、ひつじ雲ではベッドで眠ってもらっているがどうなのか、眠りの環境について話し合いがされた。

入院しているA子さんに職員は交代で会いに行った。自由に動けない、環境が違う病院での生活で認知症状が進行しないように、私たちを忘れないようにと願って。

20日間の入院生活を終えて数日後、A子さんは退院することになった。リハビリ病院に転院することなく、普段の生活が始められることになった。

このような実例を話させてもらった上で、演習での話し合いは始まった。困りごとはたくさん出てくると予測されたが、それを解決するためにどんな話し合いになるのか、「チームとして取り組んでください」とお願いした。

どのグループも、困りごととして挙げられた件数は相当数あった。挙げられた困りごとから、各グループ2つずつ選んで、解決するための話し合いがされた。アセスメント、知識、経験の構築と共有等、表現に若干の違いはあったが、話し合いの成果が見えた結果になった。みなさん、お疲れ様でした。
(出典:シルバー産業新聞)

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