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介護事業経営概況調査 15年改定で収益悪化

2017年2月27日(月) 配信
前回の介護報酬改定の影響により、多くの介護サービスで経営状況が悪化している――。厚生労働省が12月28日の社会保障審議会介護給付費分科会で報告した、「介護事業経営概況調査」の結果で明らかになった。改定率が15年4月から全体で2・27%引き下げられたことで、21サービス中16サービスの収支差率が悪化。一方で、国がサービスの普及を後押ししている定期巡回や小規模多機能、看護小規模多機能は収支差が改善し、明暗が分かれる形となった。

「介護事業経営概況調査」は、介護サービスごとに経営状況を調べ、次期報酬改定に必要な基礎資料を得るためのもの。今回からは客観性をより高めるために、改定前後2年分の収支状況を調査。対象となったのは、全国1万6280事業所で、回答のあった7681事業所(回答率47・2%)の結果を集計した。主なサービスの収支状況をみていく。

訪問介護
訪問介護は前回の改定で、基本報酬が身体介護、生活援助ともに4%引き下げとなった。これにより、介護料収入は1事業所あたり、243・0万円から240・7万円に1%減少している。

基本報酬の引き下げに対し、収入の減少を最小限に止めている要因として各サービスに共通するのは、処遇改善加算の大幅な引き上げと介護福祉士などの配置割合を評価するサービス提供体制強化加算の見直しがある。

これを取得することで、基本報酬引き下げによるストレートな経営悪化は回避できるが、一方で人件費割合は上昇することになる(表)。

訪問介護については、処遇改善加算が(機砲4・0%から8・6%に倍増。また、「身体介護20分未満」の要件緩和や特定事業所加算(検砲凌契澆砲茲蝓⊆支差率は7・4%→5・5%と1・9ポイントダウンしたものの、5%以上の収支差率を維持することができている。

訪問リハ
居宅サービスの中で、大きく収支差率が悪化したのが訪問リハ。前回改定では、リハビリテーションマネジメントの評価を別建てにしたことに伴い、基本報酬が1・7%引き下げとなった。

新設されたリハビリテーションマネジメント加算()の算定が増えてきているものの、事業収入は、97・9万円→97・2万円に減少。収支差率は6・9%→4・3%と2・6ポイント悪化した。

通所介護
前回の報酬改定でもっとも厳しい見直しとなったのが通所介護。小規模デイの基本報酬は9%のダウン(「7時間以上9時間未満」、要介護3)。通常型や大規模型も5%弱の引き下げ、さらに予防デイの基本報酬単価については、20%以上のマイナス改定となった。

厳しい見直し内容にも関わらず、収支差率は改定前の7・7%から6・3%と1・4ポイントの減少に止まった。要因は介護料収入を376・9万円から371・6万円と1・5%の減少で止めたこと。新設された認知症加算や中重度者ケア体制加算などの取得、定員の拡大、稼働率の上昇など、現場の相当な努力が窺える結果となっている。

特定施設
特定施設は基本報酬が6%弱の引き下げ(要介護3)。さらに要支援2については、人員配置基準の見直しに伴い、基本報酬が30%以上も引き下げとなった。

これを受け、介護料収入は1041・5万円→1014・9万円にダウン。保険外収入についても1277・3万円→1265・1万円に減少した。短期利用の要件緩和が行われたが、収支差率は5・9%→4・1%に1・8ポイント減少している。

居宅介護支援
制度創設以来、一度も収支差率がプラスに転じたことがない居宅介護支援。前回の改定では、認知症加算と独居高齢者加算が本体報酬に包括化されたことに伴い、基本報酬が3・5%引き上げとなった。

調査結果では、介護料収入が95・7万円→99・1万円に増加した一方で、給与費割合は86・5%→85・6%に0・9ポイント減少。これにより、収支差率は▲3・5%から▲1・8%と1・7ポイント改善したものの、今回も赤字のままだった。

介護老人福祉施設
施設系サービスの中で、特に厳しい改定内容になったのが介護老人福祉施設。基本報酬、多床室・ユニット型個室ともに6%程度(要介護3)の引き下げとなり、さらに15年8月からは、多床室も個室同様、室料負担が発生し、その分の基本報酬が引き下げとなった。

厳しい見直し内容にも関わらず、収支差率は3・0%→2・5%と0・5ポイントの減少に止まった。処遇改善加算をはじめ、単価が引き上げられた日常生活継続支援加算、経口維持加算など、きめ細かく加算を取得してきている現場の努力が窺える。

介護老人保健施設
前回の改定で老健の基本報酬は、在宅強化型の場合で1・6%、通常型は3%引き下げとなった。 これにより、介護料収入は1施設あたり、2772・7万円から2758・3万円に減少。一方で収入に対する給与費の割合は、58・5 % から59・6%に1・1ポイント増加。収支差率は3・9%から3・2%に0・7ポイント悪化している。

地域密着型サービス
地域包括ケアを実現させるために、国が普及の後押しをしているのが定期巡回・随時対応型訪問介護看護、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能の地域密着型3サービス。これらには、前回改定で総合マネジメント体制強化加算(1000単位/月)が創設され、それを算定することで収益が大きく改善される仕組みになっている。さらに、小規模多機能には訪問体制強化加算(1000単位/月)、看多機には訪問看護体制強化加算(2500単位/月)などの加算も設けられている。

この結果、集計数が少なく参考値とされているものの、定期巡回の収支差率は改定前の▲1・7%から、6・8%へと大幅に改善し、黒字化に成功している。同じく看護小規模多機能の収支差率も1・4%→6・3%に4・9ポイントも改善。小規模多機能型居宅介護も5・2%→5・4%と高い収益率を維持している。

今回の経営概況調査の結果で明らかになったのは、マイナス2・27%の報酬改定の影響で、多くのサービスの収益が悪化する中、地域包括ケアシステムの要となる地域密着型3サービスは、高い収益率が確保できる形に切り替わったこと。また、処遇改善加算やサービス提供体制強化加算のウエイトが高まったことで、ほとんどのサービスで人件費の割合が高まっている。
(出典:シルバー産業新聞)

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