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短期連載 安全な移乗と介護腰痛予防 _な董〇ち上げ限度16kg推奨

2017年2月13日(月) 配信
森ノ宮医療大学教授 上田喜敏

1.世界の現状と日本<./b>
世界のヘルスケアワーカー達(看護師・介護職・リハ職)は、腰痛や頸腕症候群と呼ばれている背部損傷・筋骨格損傷を他の産業(運輸業・建設業など)に比べて多く発生しています。それは、直接患者・利用者を移乗や移動、排泄入浴などの身体介護、配膳やベッドメーキングなどの業務中のリスクが他の産業に比べて高いことが考えられます。

グラフは日本の腰痛による休業4日以上の労働災害申請件数です。2007年以降、看護師・介護職などが分類されている保健衛生業がダントツで1位です。15年には日本の全産業界の30%が、保健衛生業による腰痛労働災害休業でした。

12年6月にISO(国際標準化機構)が技術報告書(「人間工学―ヘルスケア部門の人の徒手的介助(手での取り扱い)」)を発行しました。この報告書の目的は2つあります。

 1つは、介護者の安全な職場環境を提供する。
 もう1つは、患者の安全、尊厳プライバシー、およびケアの質を確保する。

これは介助する側・介助される側の両者にとっての安全や快適性を追求するための技術報告書でした。英語でSafe Patient Handling=SPHと言います。直訳すると「安全な患者介助」になります。Patient には、患者だけでなく利用者も含まれています。解りづらいので、日本語的にはセーフティケア(安全な介助)と言っています。

2.ISO(国際標準化機構)と人間工学
この技術報告書が発行された背景は、03年に作業関連筋骨格障害予防に関する国際科学会議(PREMUS Conference) で「他産業がISO人間工学技術委員会(TC159)に基づいた作業改善がされているが、ヘルスケア部門で改善されていない」との問題が出ました。

国際人間工学連合(IEA)に専門委員会(ヘルスケアワーカー)が設置され、主にヨーロッパ・米国で検討された結果がこの技術報告書になりました。

ISO人間工学技術委員会(TC159)とは、ISOの中の技術委員会(又は専門委員会)です。決められた作業のための技術について公的標準としての国際標準(デジュール標準)を決めています。

この国際標準の中に作業員の手作業と許容限度(重量)というのがあります。この中で人間工学に基づいて人の手で持ち上げる基準として作業員が1回あたりの持ち上げの重量制限を25坩焚爾砲垢襪箸気譴討い泙后

これ以上の持ち上げを続けると作業員の筋骨格損傷(腰痛など)を発生する危険が著しく増加するとされています。

他の産業界では、人の手による持ち上げについては25坩焚爾棒限された作業手順や技術革新を確立しています。例えば、運輸業でトラックの運転手が荷物を運ぶ時、かご台車という荷物専用の台車に乗せ、荷台からはパワーゲートというリフトで降ろします。かご台車の中の荷物一つ一つは25坩焚爾砲覆辰討い泙后7覯漫運転手はとても重たい荷物を手で持ち上げて運ぶことがなくなり、腰痛が減少しました。
v ヘルスケア産業では、介助者が人の手によって立てない患者(利用者)を介助する場合に25坩焚爾棒限されているでしょうか?

ヘルスケアワーカーは、当然筋骨格損傷を受ける結果になってしまいます。人の能力を超えた作業によって生じた障害を人間工学的労働障害といいます。

このような持ち上げに対しての対策としては、福祉用具のリフトやスタンディングリフトの利用が重要だと考えます。

さらにヨーロッパ・米国等では、ヘルスケアワーカーが安全に持ち上げられる重量として患者介助の重量を16圈35ポンド)と勧めています。これは、米国労働安全衛生研究所(NIOSH)が、患者介助中の危険度を考慮し推奨した重量です。他の産業界の荷物の場合と違い、人を介助する場合の基準として広く伝わっています(日本ではまだ知れ渡っていませんが)。

先ほどの図の日本の他の産業界の腰痛が減少している理由もこのISO人間工学技術委員会(TC159)に基づいて業務を見直し、技術革新を実施した結果です。

ヨーロッパやアメリカ等のヘルスケアワーカー達で実践されている方法や技術の取り組みは次回でご紹介します。
(出典:シルバー産業新聞)

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