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シニア住まい塾114 知られていない多様な「お泊りデイサービス」

2017年1月11日(水) 配信
お泊まりデイは介護保険のデイサービスに自主事業の「お泊まり」を加えたもので、日中そこのデイサービスを利用した人が夜泊まることができる制度外サービスです。

1泊2食2,000円程度で利用できるという風評がありますが、神奈川の藤沢、鎌倉、茅ケ崎のお泊まりデイを取材してみて、料金も形態も雰囲気もさまざまであると感じました。3市での総数は26カ所。小規模の地域密着型は今年4月1日から利用定員は18人以下という決まりになりました。11人以上のデイサービスは、職員に看護師がいることが規則です。

通所利用定員10人以下として運営しているところが多いのですが、通所利用定員50人程度で宿泊人数が9人というところもありました。基本的にはお泊まり当日のデイサービスは介護保険で利用し、デイサービスの利用時間後〜翌朝デイサービス利用時間前まで自費で宿泊し、翌日のデイサービスも介護保険で利用しデイサービス終了後、家まで送ってもらえるもの。

1泊で2回デイサービスを利用することになり、宿泊料金は自主事業ですから運営事業者によって異なります。おおよそ宿泊代は1,000円から1,300円のところが多く、夕食代は400円から800円、朝食代は200円〜600円(300円台が多い)。ただ、宿泊代5,000円、14,000円、3,000円〜11,000円までと幅広くとっているところもあります。

利用者側から言うと安い方がいいのですが、運営側にすれば職員の時給は神奈川県の場合最低賃金が時給930円となっており、時給1,050円は出さないと職員が集まりません。夜間職員は1,050円×時間数分に深夜手当を出すと、1泊15,000円以上かかるので運営費が大変です。

さらにデイサービスは事業者が多いので利用人員を確保するのも容易でなく、定員10人といっても日によっては5人とか6人しか来ない日もあります。

管理者はケアマネさんや地域包括支援センターを回って利用者を紹介してもらいますが、民生委員さんには個人情報制度が厳しくなって利用者紹介は頼めないそうです。さらに2019年までにはスプリンクラーを設置するように指導がでていますが、設置費用の補助金も出ないのです。

今回は藤沢、鎌倉、茅ヶ崎のお泊まりデイを1軒ずつ訪ねましたが、介護保険給付対象外のサービスはそれぞれ工夫がありました。

自主事業は県に届を出せばやってよい規則で、介護保険枠を超えた人のデイサービスは、自費デイサービスを設けて介護度により7〜9時間で数千円、外出サービスは1回2,500円、院内介助1時間ごとに1,500円など各施設で料金を設定しています。この料金は介護保険外ですから運営側が決めます。

藤沢の「デイサービス花束」を訪問しました。代表者の西村ゆう子さんは看護師で自宅の1階をリフォームしての開設。西村さん自身が働きながらご主人の親、自分の母の介護をしたことで、若い人が親の介護をしながら働き続けるのを助けたい、という思いからの出発。管理者が看護師なので緊急時の飛び込みにこたえているのが特徴です。

宿泊代が高い(8,250円)といっても、「自宅を改修しての開設なので、家賃がいらないから何とか回っている」状態といいます。老夫婦で暮らしていたご主人が急死し、残った母親の施設が見つかるまで預かってほしいと息子さんが駆け込んできた例では喜んでもらえたそうです。

鎌倉の「シェフズデイサービス湘南」は郊外の白壁の戸建てを丸ごと借りあげ、シェフがいるのが自慢です。管理者は元ホテルマンでスタッフは演劇界からの転職者、海上自衛隊にいた男性、アロマトリートメントから介護職に入った人など活力あるスタッフ達が揃っています。看護師は5人いて、毎日1時間以上の勤務をしています。利用者は鎌倉紳士と鎌倉夫人が多いのか、文化的な雰囲気が漂うサロンのようです。

茅ヶ崎の「デイサービスあのん」は、築85年の元醤油蔵古民家を借り上げて、昔の土間や廊下、庭を工夫して使っている「昔の田舎の家」で情緒たっぷり。運営はNPO法人ワーカーズコレクティブで、利用定員10人で宿泊は2人まで。ほかに介護保険の限度額を超えた利用者の自主デイサービスを、介護度に関係なく1時間500円で受けています。介護保険外の宿泊はロングもOKです。

契約時に、「緊急の場合は救急車の手配をすることを了承します」と家族に同意のサインをもらっています。寝具は宿泊に限らず昼寝の時に使用した枕カバー、シーツ、布団カバーを一人ずつ替えているところもあり、これは選ぶ側で選択します。

国の方針は「家で最期まで」に向かっています。「家で最期まで」を補おうと努力している「良心的なお泊まりデイ」に、国の応援と支援をお願いしたいです。
(出典:シルバー産業新聞)

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