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ワールドレポート 中国の介護保険、試験的実施に不透明さが増す

2016年12月28日(水) 配信
中国の65歳以上の人口率10.47%に対し、戸籍人口の19.6%が65歳以上で、高齢者人口率全国一番の上海市は、今年6月8日から3日間上海で開催された「チャイナエイド2016」の会期中、これまで長く囁かされた念願の介護保険を来年の1月1日に試験的に開始すると発表しました。

そして、約3週間後、中央政府の人力資源社会保障部弁公庁から、「長期介護保険制度試行拠点の展開に関する指導意見」が発表されました。内容は各地の主要15都市で、介護保険制度の導入に向けた試行拠点を指定し、今後1〜2年間にわたり実験的に実施、その後の状況を見ながら、第13回5カ年計画(2016年〜20年)までに各地域の状況に応じた制度を設計し、各拠点での実施状況を踏まえて全国での制度導入を目指すということです。

ちなみに、これらの都市は、長春市、黒竜江省チチハル市、上海市、蘇州市、寧波市、青島市、広州市、重慶市、成都市、新疆ウイグル自治区石河子市など、そして吉林省及び山東省は別途、国家試行拠点の重点省に指定されています。これらの都市の分布を見れば、かならずしも経済発展している大都市とは限らず、内陸都市も含まれていることがやや意外な感じもします。それほど中国全土の高齢化が進んでいるとの反映でしょう。

それから3カ月が経ち、夏ごろの介護保険の盛り上がりの時の熱さが秋も近づくにつれて季節如く温度が下がっているようになっています。財源の確保、具体的なサービス内容、適用範囲など、やっぱり不透明な点が多いと専門家が指摘しています。

各地の制度自身が統一されてなく自己状況に応じて実施のような現状で、財源はほとんど既存の都市従業員基本医療保険、都市住民基本医療保険の保険料に上乗せする形です。

その中で、任意性で商業保険に近い形での運用となっているところもあります。各地は施設入居や在宅サービスを利用する際に自己負担が4%〜20%となっています。制度の利用条件についても、各地でバラバラの評価システムであり、多くは低収入者への生活支援のようなレベルという印象を否めません。

近年、中国の経済が低迷しているため、上海や北京のような経済が発展している都市はともかく、地方都市へ行くと、財政難に直面し、地方政府の借金はどんどん膨らんでいて、社会保障制度の充実は難しい局面となっています。また、介護保険の先輩である日本を注意深く参考にしているため、いかに持続的な制度を作るのか、慎重に進めていることは間違いありません。

いずれにしても、深刻になる中国の高齢化に伴い、政府は対応策に追われ、急務となる社会保障制度の整備と運用は進めなければなりません。経済成長の果実を広く国民に享受してもらうことは、社会の安寧秩序には不可欠なことです。逆はないようにと、この分野での失敗が様々な取り組みが試行される中で、答えが出てくる日がきっと来るでしょう。
(出典:シルバー産業新聞)

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