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介護保険と在宅介護のゆくえ56 ケアマネジメント自己負担導入は介護保険の根底を揺るがす

2016年12月12日(月) 配信
1.要介護者へのトータル支援が介護保険を支えている
介護保険の見直し議論が終盤にはいった。介護給付の抑制がテーマである。高齢化が進み、介護保険の利用者数は2015年度に3.8%増加した。しかし、16年度の一人あたりの介護サービス利用額は6年前の10年より下がっている(グラフ1)。また、サービス利用者の68〜89%は要介護度を維持している。介護保険の利用者の73%は80歳以上であることを見ると、加齢に伴う変化に対応していることがわかる。

2.ケアマネジメントの役割と価値を直視しよう
介護保険法の改正で「ケアマネジメントに自己負担導入」が論議されている。賛成意見は「自費を払えば質の高いケアマネジャーが選ばれる」、反対意見は「家族の言いなりプランにしないと、ケアマネジャーが交代させられ質が下がる」という議論である。

筆者は加えて、ケアマネジメントの単価を下げて、利用者負担を減らし、居宅介護支援事業所が利用者を抱え込み、サービス導入で元を取る危険もあると考えている。なぜなら居宅介護支援事業所は15年間赤字続きで、90%の事業所がサービス事業所に併設され、雇用されている現実があるからである。

15年度の居宅のプラン作成者数は335900人で、全利用者の69%であるが費用は全費用額の4.7%である。
ケアマネジャーの業務はプラン作成とモニタリング、給付管理だけではない。その役割を再度見てみよう

 ▽心身の状況から、悪化リスクのアセスメントをし、予防など医療ニーズへの対応をする。
 ▽利用者の生活歴と生活の希望を把握し、その遂行のための生活の課題を明らかにする。
 ▽同居、近居、遠距離に関わらず、介護者の負担軽減とその具体的サポートをする。
 ▽本人の急変や介護者の急変への対応を、多職種と連携して具体化する。
 ▽利用者の生活の目的との関係でサービス事業所の適合性と調整を随時行う。
 ▽利用者の近隣との連携:地域資源の活用で生活全体の支援を行う。
 ▽ 経済的課題への対応、ショートステイの補足給付や公営住宅の家賃減額への対応。
 ▽他職種との連携・調整・情報共有により、サービス内容の最適化を進める。
 ▽利用者・介護者・地域・事業者・諸制度のコーディネートで難病、障害者制度の活用をする。

これらの日常業務は直接サービスのように目に見えにくいが、これが要介護者の生活の継続性には不可欠であり、ケアマネジャー以外にやる人はいない。もちろん他の専門職や地域資源、他の制度などの連携により遂行するものである。

日本では看護や介護、リハビリなどの目に見える直接サービスを重視し、その人全体を見て、課題を明らかにして、それをマネジメントするソーシャルワークを軽視する傾向がある。看護や介護や、リハビリや栄養が効果を上げるその根底にケアマネジメントがある。

3.より長く居宅で生活すれば介護給付は下がる
居宅サービスの利用者の限度額に対する平均利用率は、要支援は4割以下、要介護3〜4も6割以下、要介護5でも64.6%である(グラフ2)。居宅で暮らすことが継続できれば介護給付は下がるのである。それを支えているサービスの底にケアマネジメントがあることを見ていこう。

自宅でサービスを利用して介護生活を継続できれば、家賃はかからず(持ち家率は81.5%)、役割があり、近隣との支え合いもある。自費導入は介護保険の根幹を危うくする。居宅生活を支えるケアマネジメントをもっと評価しよう。
(出典:シルバー産業新聞)

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