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CareTEX2016 専門セミナー特別配信 No16

【タイトル】
 介護施設におけるリノベーションの具体的手法と注意点

【セミナー概要】
 介護施設をリノベーションする際のスケジュールごとの具体的な内容と、注意事項および、
 デイカフェコンセプトなどの提案による差別化の方法について講演します。

【講師】
 (株) クレイズプラン 専務取締役 堀越 正身

(敬称略)

※この動画及び講演内容は、2016年3月18日に行われた、CareTEX専門セミナー(於:東京ビッグサイト)
 での講演を収録・記録したものです。
※この動画及び講演内容の無断転載・複製を禁じます。
※当社は、当ページのコンテンツ(動画及び全文)の正確性の確保に努めてはおりますが、
 提供している情報に関していかなる保証もするものではありません。

専門セミナー 講演内容全文

■ 司会による紹介

皆様、本日は、CareTEX専門セミナーにご参加いただきまして、ありがとうございます。これより、セッションナンバー37、施設開発コース「介護施設におけるリノベーションの具体的手法と注意点」の講演を開始いたします。

はじめに、本セミナーの講師の方をご紹介いたします。株式会社クレイズプラン専務取締役 堀越正身先生です。堀越先生は、東海大学工学部建築学科をご卒業後、東京の設計事務所にご勤務され、一級建築士事務所アートハウスを主宰されました。その後、新潟にてウェーズプランの前身の設計事務所立ち上げにかかわられ、現在、専務取締役としてご就任されています。介護施設を中心に病院、クリニック、大学、保育園、など多岐にわたる設計を行われています。

本セミナーでは、介護施設をリノベーションする際のスケジュールごとの具体的な内容と、注意事項および、デイカフェコンセプトなどの提案による差別化の方法をお話いただきます。それでは堀越先生、よろしくお願いいたします。

■ (株)クレイズプランについて

皆さん、こんにちは。ただいまご紹介にあずかりました、設計事務所のクレイズプランの堀越と申します。
本日はですね、介護施設におけるリノベーションの具体的な仕事と注意点ということで、お話をさせて頂きます。どうぞ、よろしくお願いいたします。

本日は、当会場にお集まりいただきまして、大変ありがとうございます。近年ですね、大変建築費が高騰しておりまして、なかなか新築工事も予算に収まらない、というような計画が多く見受けられます。したがって一層ですね、リニューアル、それも単なるリニューアルではなくて、リノベーション、そういうことが益々重要な位置付けになろうかと思います。そのような中で、医療介護の業界もですね、2025年問題ということで、団塊の世代が後期高齢者に突入していくと、そういう時代を迎えております。介護施設もですね、多様化するニーズに合わせた、そういう設計をする必要がありますので、ライフスタイルの変化を見据えたですね、リノベーション提案も必要かと考えております。エコや、維持費を下げる省エネの発想で、改修をしていかなければなりません。
クレイズプランではですね、高齢者を中心とした家族と、運営事業者の連携に寄与する、そういうような建築を目指したい、という思いからですね、設計コンセプトである、デイカフェコンセプトを中心に、高齢者の新しい生活スタイルをリノベーションと合わせて提案しております。このセミナーがですね、皆様の施設リノベーションの際に少しでも寄与できたら幸いでございます。
最初にお手元の資料をちょっとご確認いただければと思います。封筒の中にですね、今回のセミナーの資料、A4判の資料、それから白い当社の会社案内ですね、それから1枚ペラのリーフレットが5枚ほど入っております。ないものがあったら、お申し出ください。

それではですね、はじめに当社クレイズプランに関して、簡単に説明させていただきます。当社はですね、東京と新潟にある建築設計事務所でございます。今ほどの会社案内にもあるんですが、医療介護系を中心に、先程のご紹介でありましたように、いろいろな用途の建物を設計している建築設計事務所でございます。医療介護では特に多くて、100施設以上設計をさしていただいてる、というような状況でございます。東京事務所と新潟の事務所を合わせてでもですね、約22名ほどの小さな設計事務所ではあるんですが、構造の設計会員が2名程おりましてですね、構造設計の方も内製化しております。今般、職人不足ということで、建築費が非常に高くなっていると、いうような話があるんですが、現場での品質管理も非常にに難しくなっているのが実態でございます。そういった意味で杭工事、今、騒ぎになってますけれども、構造の設計監理も厳しく行っている事務所でございます。

■ 介護施設における関係者と検討要素

それでは、セミナーの本題に入っていきたいと思います。本セミナーではですね、全体の流れ、スケジュールを追いながら各場面でのポイントになる事柄を、少し詳しくお話させていただいて、リノベーションのですね、全体的な理解を深めていただこうと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

最初に、こちらに簡単な模式図があります。今日お話させていただく、介護施設のイメージなんですが、特養とか老健、それから病院、有料老人ホーム等ですね、少しボリュームがある施設をイメージしてお話しさしていただきますが、当然、地域密着型の施設群にもですね、当てはまることは多いと思いますが、ご承知おき願います。
それからリノベーションという言葉なんですが、当然皆さんご存知だと思いますけれども、単なる改修ではなくてですね、性能を向上させて、いろいろな付加価値のついた状況の改修工事と、そういうふうに捉えていただければと思います。
ここで簡単なダイアグラムがありますが、ここにありますようにですね、当然、入所者、家族の方がいらっしゃって、運営事業者さんがいらっしゃる。それから我々、設計事務所がいて、施工者がいる。それをこの4社に関係しながら、周りに行政庁の方々がいらっしゃる、というような状況かと思います。検討要素の関係性という意味では、施設そのものがあってですね、運営面があると。それを調査、計画して、リノベーションを行っていくということです。これの丸の中にですね少し被ったところがあるんですが、非常に連携が必要ですよということが、これからお話させていただきますが、まあここが重要になろうかと思います。

このページでちょっと全体的にくくった話をさせていただきますと、介護施設のリノベーションの方法の概要をまとめた形でお話させていただきます。まずは運営的な問題がないか改修の検討をして、建築の基本ハード部分としてはどのような状況になっているかを把握していく、それでどのような改修が必要かと。言ってみればですね、一般的な大規模改修ってあるわけですが、それと、運営的な改修を考えあわせて、いかに居ながら工事をトラブルなくやるかを検討することになるかと思います。

■ リノベーションの具体的手法と注意点

次のページですが、ここにリノベーション全体の行程表があります。これより1からですね7の工事上の注意まで、で完成ということで順にご説明をしていきますが、行程的には、初段の段階で色が変わっている基本方針固めが当然重要ですので、説明的にも前半の部分に力点を置いて、お話をしたいと思います。

ここにありますように、当初、企画立案から始まってですね、状況把握して調査を行って、計画的具体的を立て、予算を把握して工事をしていく、というプロセスになるんですが、実際には各段階でですね、重層的なフィードバックをしながらの作業をしていくべきだと。希望の工事内容と、予算の調整等もですね、各場面でフィードバックしながら、調整を計る、というようなことをしないといけないわけです。で、そういった意味でロスを少なくするために、コミニケーションがとても大切になるわけですね。コミニケーション、というのはどんな仕事でも当然とても大事なんですが、こと建築にいたってはですね、こういう居ながら工事の改修工事、というのは、新築工事よりもある意味難しいかなと、関係者がああいうふうに多いということですね、というふうに我々も捉えております。

■ 状況の把握 〜運営的な改善要素の抽出〜

最初にその状況の把握、ということでお話をしますとね、施設運営と、建物に関する状況把握から始まるわけですが、抽出した項目を整理してですね、優先順位をつけていくようなことになります。ここでは管理者の方が、大枠の状況を把握することから始まりますので、その視点でのお話をせていただきます。

当然、のちに設計事務所と連携しましてですね、進めていくことになりますが、施設側のサイドのイメージ固めになろうかと思います。おおよその状況把握をして、優先順位をつかむことで、2度目の骨格が、そういう部分がですね、洗い出されると、とても重要な状況になろうかと思います。状況把握した後に、限られた予算の中で、何を優先させて進めていくべきなのかを検討しなければなりません。ここに書いてあるようにですね、状況把握のいわゆるソフト部分をまず、捕まえましょうということで、施設としてのビジョンをどうするんだろう、どうしていこうかと、今後施設はどのような位置付けになるか、そういうものを踏まえてですね、運営的な改善要素を検討していかなければならないと思っております。15年、20年経ちますと、時代のニーズの変化がありますし、これからどうなっていくかを見据えていかなければなりません。

まずですね、その最初に当然基本的なオペレーションがいろいろ変わってくると思いますんで、その問題を解決するようなことを優先的にやることになるわけですね。さっき言ったように、ケアスタイルがどんどん変わってきていると、例えば15年も経つとですね、介護度が平均的にすごく上がる、というようなこともあろうかと思います。大型の浴槽を小浴に変えたり、機械浴槽を増やしていかなきゃいけない、そういう場面もありますでしょうし、法人さんによってはですね、施設展開がいくつか広がってきたなということで、セントラルキッチン的なことを考えてもいいんじゃないか、というような検討もあろうかと思います。今話題のように地域の人たちとの連携を踏まえて施設開放をしていくというようなこともあろうかと思います。特養さんなんかで言えばですね、敷地に余裕があれば、待機者増大に対してですね、増床計画もあろうかと思いますし、ユニットケアに改修していくと、そういうことができなければ、多床室のプライバシーを守るような工事を検討していく、というようなこともあろうかと思います。
要は運営方法の改善のための提案に何を盛り込めば1番いいのかと、施設ごとにそういう新しいコンセプトの提案をどうしていくのか、という検討をしていくと、そういうことをしていくと、いうことがあると思います。ここで少しポイント的に差別化、というキーワードでちょっとお話をしたいと思います。言い方を変えればですね、施設の特色を出す、ということになろうかと思います。施設としての差別化を図り、継続経営を目指していかなければならない。競争も非常に厳しくなっていくと思いますので、どうしたらいいんだろうかと、そういうことで、介護施設の時代のニーズはなんなんだろうか、ということがあろうかと思います。釈迦に説法みたいな話をちょっとするんですが、入所されている皆さんの状況というのは、身体的にも性格的にも全員全く違うわけですよね。それからご家族の状況も当然皆違うと。これについて一律的な回答、というのは当然ないんですけれども、そういうところで、私なんか思うには、立派な施設に預ければ、それで終わりか、ということでもないだろうし、自宅に戻れたらよい、という話でもないのかなと。本人中心にですね、家族を含めてそれぞれに合った状態を作ってあげて、いわゆるQOLですかね、生活の質をいかに高めるか、ということが益々重要になると思っております。

方法はいろいろ当然あるわけですが、そんなことはよく分かってますよ、というようなことで、お金の問題が当然横たわっているわけなんですが、そうは言ってもですね、細かい配慮、工夫の積み重ねをして、接点を見つけ出していくようなことが非常に必要なんではないかな、というように思うわけです。なんで急にそんなこと話をしているんだっていうことなんですが、お話したように着目していくキーワードとして団塊の世代っていうことがあるかなと、我々は考えてます。
団塊の世代のことをちょっとお話させていただきますと、団塊の世代の方、というのはですね、介護の一方的な押し付けは多分通じなくなってくるんじゃないかな、と思います。団塊の世代の方々は、全く今入所されているようなお年寄りと、背負ってる文化が全く違う状況でありますね。音楽で言えばビートルズ世代、コーヒー世代、というようなことで、それからパソコン、インターネットにはもう皆さんよく通じているというような方々が、皆さんの施設の方にお世話になるというような時代になってる、ということです。こちらにも団塊の世代の方がいらっしゃると思っておりますが、いらっしゃるようですけれども、多分皆さんも感じてると思うんです、団塊の世代、というのは、かなり我が儘な方が多分ずっと多いのかな、というふうに思います。いろんな要望を出してくると、いろんな趣味に対応できるようなサービスが必要であろう、ということですね。要はそういうふうに思考が違う人が、そういう人たちへそれぞれ合うような特色を出していく、ということが必要なんではないかなというふうに思ってます。私もですね、初日のCareTEXのレセプションみたいなの出させていただいて、そこでリビング・オブ・ザ・イヤーという表彰があったんですが、その対象が特養の方で、そこの方々のいろいろなアイディアとしては、個々の人たちの状況をすごく細かく反映してつかんで、それに個別に対応しているようなことを、すごく特養でも一生懸命やられている、ということで、非常に感心した次第でした。とても素晴らしかったと思います。

それからですね、介護報酬の去年激変した、ということ、大変な状況になってるんですが、介護報酬の報酬外収益事業、ということで、皆さんもいろいろ工夫されていると思います。先程のQOLの繰り返しになりますけど、身体的な対応と同じように、いかに入所者の方々が楽しく過ごせるかと、そういう工夫を重ねていくときの、そういう場の提供ができる施設づくりを目指していくと、そういうことが重要なのかな、というふうに思います。いろいろな生活支援サービスだったり、送迎関係でですね、買い物行きたいとか、音楽会に行きたいとか、というのも多分あるでしょうし、細かい話で言えば、さっき言ったようにインターネットの環境作りをしてあげるとか、多機能テレビ、というのはね、パソコンと連動したようなのがどんどん出てきておりますんで、自分の好きな映画を見たり、音楽を聴いたりと、そういうような環境も、施設として作っていけたらいいんじゃないかな、というふうに思います。入所者と同時に、スタッフの方々も大事でして、介護のスタッフの方の離職率が非常に高いというようなことになってるんですが、我々も設計のお手伝いをしていて、どうしてもちょっと後やりっぽくなりやすいんですが、狭いスタッフスペースであれば、ある程度のスペースを確保してあげて、それこそ休憩室はですね、カフェチックに作ってというようなことで、これもあの、レセプションの他の施設でですね、ありましたが、スタッフルームに所謂ダーツが置いてあって、スタッフの方々がそこでリフレッシュをしている、というようなこともやられてる施設がありましたんで、そういうような発想で職場の状況を少しでも良くするようなことも、このリノベーションでやっていくべきかな、というふうに思います。

■ 状況の把握 〜工事要素〜

そういうソフト的なお話と、次に状況の把握として、ハード部分、ここに劣化部分の確認から順法化、まで書いてありますが、ハード部分としてまず、建物の劣化の状況も確認していくということですね。外部、内部、設備関係等々、改修項目を抽出していくわけです。外部では屋根防水から始まってですね、外壁やなんかも多分汚れてしまっている、というようなことだと思います。空調設備も壊れ始めてると、いう状況があると思いますが、例えばですね、どうせリニューアルをやるんであれば、内部の仕上げの改修やる際にですね、特養とか有料さんであれば、自分の部屋が決まってますんで、この際であれば入所されている方々のご希望を聞いてですね、自分の好きなクロスを貼ってあげるというようなこともありかと思いますね。これは賃貸マンションやなんかでも結構やられてる手法ですけれども、自分の居場所づくりに繋がっていくのかな、というふうに思います。こいうふうにプラスアルファのアイディアをせっかくやるリノベーションですので、たくさん入れていくべきだと思います。

次の項目。省エネ、ということなんですが、更新すべき空調設備を中心にですね、省エネはリノベーションの大きなポイントの一つだと思います。工夫によって維持費が数百万変わる、というようなことが結構あります。当然、施設ごとに設備の仕様が皆さん当然違いますので、力点を置くポイントがいろいろその場面場面、施設ごとに違うということになろうかと思います。空調的な、非常に大雑把な言い方しますとですね、所謂エアコン関係、ビルマルチ、というような天井カセットがついているような施設が多いと思いますが、15年前の機器とですね、今の機器では高効率ということで、随分性能が変わってますんで、そういうふうに更新をしていくと。それからちょっと地方には多いかな、と思いますが、セントラル方式の空調方式を使ってるところ、冷温水発生機をしょって、機械室があるような施設ですよね、そういうところでは熱源の方法を変えたり、それから循環させる水の流量を制御する、というようなことで、だいぶ省エネになっていくわけです。併せて建築的な視点で考えますとですね、1番手っ取り早い方法が、断熱性能を上げていくと。特に開口部ですね、開口部のガラスが単板であればペアガラスとか、Low-Eガラス、もしくは二重冊子化していくというようなことで、断熱性能をずっと大きく向上させることができます。
それから、電気的には照明が1番LED化にする、ということは割とイージーなんで、ぜひやっていくべきかなと思います。省エネに関してはですね、スケジュールが合えば、補助も使えるような状況になりますんで、後程ちょっと補助のこともお話させていただきます。空調設備の更新、というのはですね、冷暖房設備を使用しない、所謂、中間期にやっていかなきゃいけないので、大きなスケジュールの中で、このことも反映していかなければならない、その辺を頭に据えてやっていく必要があります。そういうことで省エネの方法は非常に多岐に渡りますが、各施設ごとに適正に選択をしていくような形になります。

次に危機管理への対応、ということで、今ちょっと空調の話しましたけど、15年前ぐらいだと、20年前、ということになるとですね、加湿装置を建築的に盛り込んでいるような施設は少なかったかと思いますが、我々も外調機といわれるように、外の新鮮空気を吸ってですね、温度管理をして吐き出す、そういう機械に加湿装置を兼ねてやっていたんですが、今、我々としてはですね、メンテ的なことを考えると、単独の加湿装置のシステムを使った方がいいな、と。メンテをしっかりしておかないと、逆に細菌をばらまいちゃうみたいなことになるので、きちっと対応しないといけないわけですが、インフルエンザ、まだ流行っているようですが、ウイルスへの対応というようなことで、加湿装置がついていない施設は、ぜひ検討されるべきかな、というふうに思います。話が前後しましたが、危機管理としては、当然地震対策が一番大事ですね、東京も直下型がすぐ起きそうだと、南海地震も30年以内に確実に起こるということで対応していかなければならない、と思います。皆さんの施設は耐震化、というのはもう既にされてるところが多いと思いますが、してないようでしたら即刻やっていかなきゃいけない、ということですね。
そして、水や食料や衣料品のストックヤードもスペースをきちっと確保していくというようなことが必要だと思います。それ、インフラ的には特に電気ですね。主要の電源を確保してくというようなことで、ほとんどのところでスプリンクラーをしょっているわけなんで、発電機っていうのを持ってるわけなんですが、もしあれでしたら、もう1台発電機をセットする、そういうことができないようでしたらですね、東北の震災でも活躍したようですが、ホンダのポータブルのですね、移動式の発電機やなんかも倉庫に置いておくようなことも検討していった方がいいのかな、と思います。灯油がないと発電ができないんで、近くのスタンドさんとはある程度、優先的なそういう契約をといいますか、有事の際の方法をよく話をしとく、ということも必要かと思います。

次が順法化、と書いてあるんですが、順法化、ということで、現行法規に合致してない状況の施設は既存不適格建築と言うんですけれども、リノベーションでいくと、ほとんど確認申請、というのは必要なくなるとは思いますが、増築だったり、要点変更を伴ったかっこうでの改修をする時は、確認申請が必要です。そういう時に順法化工事も付いてきますが、これはいろいろな緩和があるんで、結構複雑な状況になってます。そういう状況のところは設計事務所の方で対応していきますが、許認可をするのに、そこのところは現行法規に合わせてですね、勘を使いながらやっていかなきゃいけない、と。消防法に関しては、非常に厳しい状況になっておりまして、原則ですね、現行法規の必要な消防設備っていうのは、設置していくというようなことで、基本的には理解しておいた方がいいかと思います。
皆さんもですね、特殊建築物定期調査報告書、というのを当然出されているわけですが、そこできちっとやってるとですね、いろんな情報が盛り込まれていますんで、それもよく確認するとよいかと思います。実は1番面倒なのがですね、ほとんど皆さん関係ない話なのかもしれないですが、違法建築物、違反になってしまってる建築物が、たまにあります。仕切り壁を検討しないで作ってしまったりして、避難経路が実は取れてないとか、排煙がしっかり取れてないとかっていう状況になってしまうと、違反建築物になってくるわけですね。これは有事の際には、大変なことになってしまって、火事で逃げ遅れてしまったみたいな話になった時、当然、責任問題も含めてですね、大変なことになってしまいますので、すぐ直していく、ということが必要かと思います。

矢印の下にですね、現場のヒアリングの実施、と書いてありますが、改めて、施設の現状の現場のヒアリング、介護施設の現場のヒアリングをぜひしていかれるべきだと思います。のちのち設計事務所サイドでですね、詳しく調査することになるわけですが、現場でのヒアリング、というのは、通常でなかなか気付かないというようなことが出てきますので、ハード的なこと、ソフト的なことを併せてヒアリングをした方がいいと思います。ここに書いてあるようなかっこうですよね。異臭が実はするんだよとか、ある施設ではここのところ、なぜか風の通りが強くて、寒かったりするんですよとか。ここに変なクラックがありますとか、いうような話もありますよね。湿度が非常に低いですとか。それからサービスの面でも、食事がなんかまずい、とよく言われますとか、コーヒーが飲みたいです、外に買い物に行きたいとか、いろいろあると思いますね。一斉に体操する参加者、どんどん少なくなってますよとか。洗濯室が狭くてですね、暑くて夏場、作業ができない、いろんな細かいオーダーが出てくると思われます。この意見もくみ上げることが大切だと思います。

それから普段から、当然入所者はもちろん、家族の方からもいろんな意見や希望が出てると思いますので、そういうことを聞いて、それから地域のケアマネージャーさん、それから関連している病院の相談員の方々からも、どういう要望が出ていると、どういう施設に入りたい、というような話もあろうかと思いますんで、そのへんの情報もしっかりつかまえることが大事かな、というふうに思います。そういう中で、何に重きを置いて改修をしていくのかという話になろうかと思います。

■ コンセプト構築

ここでですね、弊社の方でお手伝いしたサンプルとして、リーフレットに入ってるものをちょっと見ていただければと思います。最初にデイカフェ、という緑のリーフレットがあります。デイカフェコンセプトということで、我々提案させていただいてるんですが、これも団塊の世代だな、というようなことで、東京近郊のですね、朝早くドトールに行くと、年寄りがたくさん来て、コーヒーを飲んでお話をしてる場面に遭遇すると思います。スターバックスには入ってない。まあそんなような状況なんですよね。で、やっぱりコーヒーで、朝もトースト食べたいよ、というような世代にどんどんなっている、というようなことでございます。やっぱりそういうことで、ゆったりした生活と言いますかね、そういうことも思考的には出てくるのかな、ということです。よくあの施設で皆さんカフェを併設とか、というのはどんどん出てきてると思いますが、私共が考えてるのは、施設の中の食堂で、そこの一角にカウンターや何か作ってですね、カフェチックに、カフェの印象もいろいろあるんですが、そういうふうに作って、共有部としては施設らしくない、そういう雰囲気作りをしてると。さっき言ったように居室に戻れば、自分の部屋だよというような、住み分けができるような、そういう提案をさしていただいております。

省エネの話なんですが、このブルーのリーフレットで、片方が大温度差蓄熱空調システムということで、これは私共がやってる、大きな随分古い老健の脇にですね、新しい施設を作る際に、熱源として地下に蓄熱槽を作ってですね、両方の施設に供給したというような状況で、老健の古い施設のファンコイルはそのままで使って、熱源を変えていったと。で、だいぶ削減していきましたよ。裏のページ見ていただきますと、エコビジョンって商品名が書いてあるんですが、これはセントラルの空調の対応をする、さっき言った、流量制限をするシステムですね。これはかなり安直で、かなりインパクトがあります。我々の設計した施設以外にも、いろいろご紹介してですね、結構喜ばれてるのが実状ですね。セントラルと、あと検討していただくといいんじゃないかな、と思います。それから茶色いリーフレットの中で、東京老健リノベーション提案、ということで、改修の例ということでこのスライドにも出ておりますが、特養エリアをですね、その共有部を改修して、ショートのスペースに変更した、というのをやりました。会議室だったり、機能回復訓練室だった部屋をですね。機能回復訓練室は1階のホールの方に移動してもらったわけなんですが、新しくお風呂とトイレなんかを作って、間仕切りもいろんな、開口に合わせて蛇行したりしてるんですが、ショートステイに変更した、というようなかっこうですね。ユッニトケア的には対応できるというようなことをやらせていただいております。参考にしていただければと思います。

■ 基本計画の作成 〜設計事務所との連携と調整〜

次に基本計画の作成ということで、設計事務所との連携が出てきます。設計だから言うわけじゃないんですが、一挙に具体的にしていきますんで、重要なのはいうまでもありません。事業者の要望打ち合わせをして、今度は設計事務所による状況把握をしてく、というようなことですね。設計事務所は要望部分だけではなくて、全体的に詳細に調査しますが、ここで、各専門業者による調査や現場でのヒアリングも一緒になって行うことも必要かな、というふうに考えています。なんでそんな急に業者が出てくるのという話あろうかと思いますが、先程言ったようにですね、現在の建設業界の状況なんですが、監督とか職人不足、というのが、多分皆さんの想像している状況よりも非常に酷い状況なんですね。昔のやり方みたいに図面を書いてですね、業者さんに、数社に声を掛けても、なかなか実は予算には詰まらない、という状況です。自分のところに決めてくれてないと、なかなかやってくれないみたいなところもあると。優秀で人気あるところは余計にそうだ、というようなことがあります。そういった意味でも、それで尚且つ改修ということの難しさを踏まえるとですね、早くからしっかりした業者とタッグを組んでいくことの方がメリットは多いかな、というふうに考えております。設計施工方式ということで、分譲会社なんかがすごく多くなってきてるんですけれども、設計事務所が発注者様の、お施主さんの代理人、ということでございますので、設計事務所は外さないようにしていただければと思います。
設計事務所による調査を作成して、調査終了後にですね、設計事務所からの提案も含めた基本計画の組み立てを行います。基本計画に基づいて概算の予算、組み立てスケジュールをきちっと調整をしていく、というようなことになろうかと思います。ここで、居ながら工事ということでお話をさせていただきます。介護施設はこういう状況になるんで、基本の計画段階でどのように工夫して実行できるかを検討しなければなりません。運営の工夫も非常に難しいと思います。いくつかのシミュレーションを作ってですね、どんな方法があるかなという、いくつかのパターンを打ち合わせをして作って、1番入所者にとって迷惑がかからないで、運営的にもなんとかしのげる、というベターなものを抽出していくというような作業が必要かなと思います。で、そのコミュニケーションが大事だ、という話なんですが、工事によってどのような状況になるかを事前に知ることは、特に介護の現場で、スタッフの方々が事前に知ってくるということになればですね、少しでもストレスの緩和になりますし、スタッフの方が知っていれば、入所者の方々への当然細かい配慮もできるということになろうかと思います。

次のページですね。ここで工事項目の検討例ということで我々がこういう表を作って各工事項目を抽出して、3年以内ぐらいにやらなきゃいけないこと、5年ぐらいでやらなきゃいけないこと、それ以上ということで、評価をして、それでどこまでどういうふうにやるか、という検討をしております。5年以内でやるようなことは大体まとめてやるべきかな、というふうに考えております。単独で5年のところ1個残しちゃうとですね、非常に高くてトラブルにつながりやすいかな、というようなことだと思います。

■ 補助と許認可

大体スケジュールが、計画スケジュールと計画概要が決まった段階で、補助と許認可の関係の確認をしていくということでございます。
補助金の確認っていうことで、特養なんかの補助に関しては、スケジュールの確認をしていかなきゃいけない、というようなことになろうかと思います。その受付と内示やなんかの関係もふまえてやっていくと。それから10年ルールというの皆さんご存知かと思いますが、創設改築補助を受けてからですね、10年以内は経過期間が必要ですよ、ということで、補助を使って改修した場合は、今後10年間は補助を受けての改築改修は不可能になりますね。省エネなんですが、いくつかの補助がありまして、国交省がらみで、既存建築物の省エネか、事業補助金とか経産省がらみでエネルギーの使用合理化授与等々あります。これもなかなか申し込みの時期とかですね、予算が限られてるんで、調整が難しいんですけども、そういうことを使ってやってくと。さっき言ったように建築で断熱をして、高効率な空調機をセットして、省エネ率みたいなものを出してですね、申し込みをしていくというようなことになります。

で、次に許認可の動きなんですが、さっき言ったような建築確認申請が必要な場面の場合はですね。設計事務所としては、基準法から条例関係、安全条例、東京都でいうと安全条例があって、バリアフリー法ってかなり複雑な状況になっていますが、あと補助条件、補助の条件の内容をふまえてですね、許認可作業をしていく、ということです。既存不適格に関しては、先程お話したような状況になろうかと思います。さっき言ったように違法建築になっちゃってるっていうのは1番問題なんで、その許認可が必要だと、そもそもスタートが切れないと、いうような状況に追い込まれてしまいます。この辺もですね、頑なに直さないとなんにも受け付けませんよ、という行政さんもありますし、いろんな書類を出してですね、一緒くたに改修工事としても構いませんよ、みたいな、そういう行政さんもありますんで、そういう調整ごとが必要かと思います。いずれにせよ、許認可出さなくても、当然、今言ったような法律の下に改修をきちっとしていかなければいけない、ということですね。ここに書いてあるように、消防の設置関係なんかは間仕切り関係変わればですね、みんな変わってくと思います。スプリンクラーのヘッドやなんかも当然変わってく、というようなことがありますんで、設置届けが必要だという状況です。

■ 資金調達の確認

次にですね、資金調達の確認、ということで、社福さんであるとか、医療法人さんは、医療福祉機構の方にお願いをして、融資の実行をしていただくと。ただ、いろいろ私共もお手伝いしている中で、随分厳しく内容を精査するような感じに雰囲気がなっている、というふうに聞いてますんで、その辺の協議をしっかりやってくと。銀行さんはマイナス金利ということで、多分1パーセントぐらい、ざらになってきているような感じですので、チャンスと言えばチャンスなのかもしれないですが、さっき言ったような工事費と見合いがあろうかと思います。こういうことで、資金的な調達をふまえてですね、事業計画書に反映して、対応できるようにするということになろうかと思います。

■ 実施設計

5番目にいよいよ実施設計と言うことで、詳細な要望を出しながら、設計事務所とよく度重なる打ち合わせをしていただきたい、ということです。打ち合わせにより、共通認識を深めて、工事の影響の範囲を最小化に図って、居ながら工事のトラブル防止へとつなげていく、ということが大事ですね。
工事スケジュールはそうなんですが、さっき言ったように工事費用の概算見積をこの時点で作成していきます。事前に連携していれば、そういうことが可能だということですね。最終的に見積をお願いしても、そんなにぶれないというような状況で作っていかなければならない、ということだと思います。我々は工事の見積ができる図面をきちっとここで作っていく、ということになろうかと思います。

居ながら工事ということなんで、先程から話しているようにですね、綿密な打ち合わせをしていって、ここで具体的なことを決定していくんですが、できる工夫をしてですね、尚且つ必要な工事をすることにより、運営の現場がどのようになるか、ということを、さっき言ったようによく理解することがとても大切だと思います。それが混乱を招かないようになるというようなことですね。工事の留意点、工事順番、仮設計画を含めた検討をして、実質的な図面を組み立てていきます。

■ 工事業者の決定

それから、工事業者の決定ということで、図面ができた後に工事業者を決定していくわけなんですが、入札案件であれば、補助がある案件であれば、入札してくようなことになりますんで、都道府県の指導の下、社福さんであれば規約、内部規約持ってらっしゃるんで、そういうもとに入札をしていくということになろうかと思います。
それ以外の方々なんですが、それ以外の施設に関しては、さっき言ったようにですね、事前に工事業者の連携をして、具体的な工事行程を組みながらですね、工事金額もしっかりつかまえることができる、というようなことで、やれることができますんで、そういうことをぜひ、検討していただければと思います。ここになるべく関係者の、関係のある業者とか、信用のおける業者、もしくは当該施設で施工した業者、というふうに書いてありますが、言ってみればですね、設計事務所、例えば、我々クレイズプランが知っているような建築業者さん、ご紹介しますんで、なんでというような話があろうかと思いますが、そういうことをしていかないとですね、なかなかちゃんとした工事がうまくできなくなるということがあります。技量があって、尚且つ誠実な会社、といいますかね、ファジーな言い方ですが、そういう会社さんじゃないと細かい配慮ができないということがあろうかと思います。誠実である程度の力量がある会社じゃないとですね、設計事務所も管理がしきれないみたいな、そういう場面も出てきてしまう、ということがあろうかというわけですね。我々もとても困ってしまうと言う状況があります。

■ 『居ながら工事』の留意事項と調整

最後にですね、工事中の注意と。工事始まって、工事中の注意ということですが、居ながら工事の留意事項ということですので、先程お話してるようにですね、運営事業者、現場スタッフ、それから設計者工事、業者さんとの緻密な連携、特に、さっき言ったように工事業者のですね、細かい配慮と臨機応変な対応がとても必要です。安全管理計画書を作って、仮設計画を立てて、工事業者と利用者の導線あけ等しっかりしなきゃいけない、ということになろうかと思います。その工事やってくところで、どんな場面でどんな様な状況になるかを想定しなければなりませんよね。入所者がいて、その部屋にいる時間帯等々、ひっくるめて細かい調整ごとを工事の中では必要になってこようかと思います。

それから、粉塵層問題。ちょっと時間がきてしまいましたが、工事のところで居ながら工事だとそこは問題になるんですが、仮設の間仕切り関係をしっかりやるということだと思います。我々もちょっと失敗したというか、苦い経験あるんですが、しっかり仮設の間仕切り工事をしたんですけれどもですね、工事始まったら居室の方で埃っぽいよ、というような話が出てきました。どうしたのかな、というふうに見るとですね、外側から、外部からですね、換気口から埃が入ってしまってた、というようなことがありました。いろんなことが起きてきますんで、そういった意味でもかなり臨機応変に対応していく、そういう柔軟性があって、ある意味、細かい話がたくさん出てきますんで、誠実な工事業者さんじゃないとなかなかうまくいかない、というようなことがあります。以上のような注意事項を留意しながら工事を完成させていくというようなことですね。これで、完成して終了となります。次のリノベーションまではですね、多分おおよそ15年ごと、ということで、更に進化したリノベーションをしなくてはならないと思います。リノベーションの企画からはじまり、工事終了までは大変長い時間かかりますんで、じっくり悔いのないよう、行っていただければと思います。

本日はですね、おおよそのリノベーションの流れをお話さしていただきました。個々の施設の状況によって、そのスタイル、改修の中身は当然、全て違います。細かい事柄の積み上げと、それぞれの創意工夫が必要ですので、非常に大変だと思いますが、十分に検討すればですね、それほど、納得のいくリノベーションができるかと思います。ぜひ、後悔のない、良いリノベーションをされて、新しい施設のあり方を示していただければ、と思います。

大変駆け足で、非常に聞き苦しい点がたくさんあったかと思います。最後までお付き合い、誠にありがとうございました。これでセミナーのほうは終了さしていただきます。ご静聴ありがとうございました。

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(敬称略)

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