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CareTEX2016 専門セミナー特別配信 No9

【タイトル】
 介護・医療におけるICT利活用の推進 〜総務省が進める地域包括ケアについて〜

【セミナー概要】
 総務省が進める地域包括ケアに向けた各種の取り組み、在宅医療、介護分野の情報連携基盤の普及展開や、
 介護、医療、健康情報を個人が効率的に収集、活用する仕組みの検討について講演します。

【講師】
 総務省 情報流通行政局 情報流通振興課 情報流通高度化推進室長 吉田 宏平

(敬称略)

※この動画及び講演内容は、2016年3月18日に行われた、CareTEX専門セミナー(於:東京ビッグサイト)
 での講演を収録・記録したものです。
※この動画及び講演内容の無断転載・複製を禁じます。
※当社は、当ページのコンテンツ(動画及び全文)の正確性の確保に努めてはおりますが、
 提供している情報に関していかなる保証もするものではありません。

専門セミナー 講演内容全文

■ 司会による紹介

皆さま、お待たせいたしました。本日はCareTEX専門セミナーにご参加いただきまして、ありがとうございます。
これより、セッションナンバー33 業界動向コース「介護・医療におけるICT利活用の推進〜総務省が進める地域包括ケアについて〜」の講演を開始いたします。
はじめに、本セミナーの講師の方をご紹介いたします。総務省 情報流通行政局 情報流通振興課 情報流通高度化推進室長 吉田宏平先生です。吉田先生は、1994年郵政省にご入省後、2001年に総務省に変わってから、携帯電話の電波割り当てや、番号ポータビリティ、郵政民営化、電気通信事業法改正などに携わられました。また、官民交流で株式会社電通にご在籍時に、ヘルスケアサービスの開発を行うなど、さまざまな経歴を経て現在に至ります。
本セミナーでは、総務省がすすめる地域包括ケアに向けた各種の取り組み、在宅医療、介護分野の情報連携基盤の普及展開や、介護、医療、健康情報を個人が効率的に収集、活用する仕組みの検討について、ご紹介いただきます。それでは吉田先生、よろしくお願いいたします。

■ 社会保障政策における2025年問題

皆さま、おはようございます。ただ今、ご紹介いただきました、総務省の吉田でございます。今、経歴を読み上げていただいて改めて思ったのは、あれ、全然介護に関係ないじゃん、という感じなんですけれども。
総務省っていうのは、今あったような、基本的には通信の世界だとか、放送の世界で規制をしたり、最近だと、大臣が電波取り上げみたいな話でちょっと話題になっちゃったりもしたこともありますけれども、基本的にはそっちのICT系の世界です。健康、医療、介護に関しては、当然のことながら厚生労働省が主管の官庁ではあるんですけれども、なんで総務省がこれやってるのか、というと、皆さん、ご自宅でパソコンでブロードバンドで、光ファイバーで、インターネットとか楽しまれたり、あるいは携帯電話で、スマートフォンでも、LTEで高速の通信でネットとか使われたりということが、もう日常になってますけれども、よく日本でいわれてるのは、日本のインターネット環境っていうのは、インフラ、要するに回線は一流になってます。超一流になってます。世界最先端かもしれない。

ただ、そこを流れる中身っていうのが、まだまだだよね、ということが言われていて、そうこうしているうちに、アメリカでGoogleがどんどん大きくなっちゃって、あれだけ大きくなっちゃいましたとか、日本でパソコンもどんどんちっちゃくなって、Appleがどんどん大きくなっちゃうと。だんだんそういうふうになって、日本で通信のインフラだけじゃなくて、中に流れる中身、コンテンツをしっかり普及させないと、本当にインターネットのインフラ使えないんじゃないか、という問題意識がずっとあって、それで深掘りしてるのが、この健康、医療分野であり、あるいは教育とか、あるいは電子自治体とか、電子行政みたいな話です。
そういう、情報通信の利活用、とよくいうんですけれども、インフラの中で流れるその中身について、後押ししていこう、ということで、総務省としても医療分野、健康分野、それから介護分野に、お手伝いさせていただいてると、そんな立ち位置です。ですので、政府全体だと、後でご説明しますけれど、内閣官房に健康医療戦略室、という司令塔のところがあって、その下に厚生労働省とか、経済産業省とか、あるいは開発だから文部科学省とか、あるいは総務省が、そういうところが共同してこの分野に取り組んでいる。総務省に関しては、今、申し上げたような通信の利活用というところで、手伝っているというところです。そんな前置きをお話しましたけれども、今日は、その地域包括ケアに向けて総務省の取り組み、ということを、1時間の時間をいただいてお話したいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

最初、背景的なこと、これはもう皆さまにとっては釈迦に説法のところもあると思いますので、サクサクとご説明したいと思います。
2025年問題、これよくいわれている。結構、問題に年を付けること多いですよね。2020年ていう、オリンピック、パラリンピックが行われている、それで、日本というのはその2020年に向けて、頑張っていこうみたいな感じに、一昨年ぐらいからなっていったような気がしますけれど、その中でも、エンブレムの問題、いろんな問題はあったりするんですけど、それでも、政府としては2020年て一つの目標の期間なんですね。後で申し上げますけれども、医療分野に関しても2020年までを集中改革期間として、そこでICT化を進めようみたいなことは言ってたりします。ただ、その2020年越えると、なかなか良い話がないんですね。オリンピック、パラリンピックに関しても2020年までは、非常にいろいろな建設とか、サービスの開発とかあるんですけど、2020年越えると、一気にそこの受注が少なくなるんじゃないかみたいな話もありますし。

それから、2025年問題って、これもうオリンピックと何の関係もありませんけれど、いわゆる団塊の世代が2025年までに後期高齢者に達する、ということで、いろんな社会的問題が発生するということですね。当然のことながら、増えれば病院や介護施設のキャパシティー不足、支え手の不足というのがあります。これは今の安倍政権の中でも、一億総活躍社会という、その掛け声の下、介護離職を防ぐ、というところが一つのトピックになっておりますので、ここのキャパシティーの不足、これは完全に箱の話が、今、政府の中では議論されてるんですけれど、それもあるんですけど、やっぱり在宅、地域包括ケア、地域全体でこういった高齢者、それから要介護の方々を支える、ということが必要になってくる。ただ、そこがまだまだできていないということがあります。
当然のことながら、医療費、介護費など、社会保障費の急増、それから、これに伴う社会保障システムの危機も、ずっと危機といわれてますけども、もともと胴上げ型から騎馬戦型、肩車型といわれてましたけど、最後、共倒れかみたいな話もあったりするので、これ何とか考えないといけない。
さらには、老老介護、それから認認介護と、2030年には日本の人口の3分の1が、老人の独り世帯だ、というふうにいわれています。残りの3分の2のうちの半分は、これまた、年老いた娘さんがさらに年老いた親御さんを見られるような、複数なんだけどもそういう家庭だというふうにいわれているので、こういった問題というのはたくさん出てくる。
さらには、若年の世代においても、会社の働き盛り、それこそ40〜50代でこれからまさに仕事も脂が乗り切ってというところで、介護の問題が生じて会社を辞めざるを得ない、といったことも、これからどんどん出てくるというふうに思います。
この前もある会社の方とお話していたら、2020年ぐらいの想定なんですけれども、これ大企業なんですけど、社員の20%が介護の問題を抱えるだろうと、そう予想していたりしています。ということなので、こういった問題が2025年までに出てくるということからすると、これに対して何らかの手を早く打たないといけない、という問題意識がございます。

それのいくつかのバックデータですけれども、今の話、2025年にかけて75歳以上の人口、というのは急増する、700万人、今から増えるということです。もう日本の国の形が変わってくると思ってます。さらに、後期高齢者の増加、特に都市部、一都三県に関しては、高度成長期にどんどん地方から住民が流れてきていると、そういった方々も地方に戻られる方もほとんどおられずに、ずっと東京で、そこでお子さんも産み、暮らし続けると、そういった方々が75歳以上なると、本当に高齢化、というのは一気に進んじゃうですね。この10年間で175万人増えるというふうにいわれています。

この増えるところを見ると、本当に首都圏ばっかりなんですね。東京、神奈川、大阪、埼玉、千葉、愛知と。下の方になると、当然、こういう、本当に都市とそれから過疎化の順番通りということだと思うんですけれども、後期高齢者、というのはどんどん増えていくと。特に東京に限って見てみると、今、2015年に関しては、東京でいろんな施設の収容能力足りなくても、周辺の施設で補ってる、というふうにいわれてますけれども、これがとてもじゃないけれども足りなくなってくると、2025年にはもう全てで不足すると。ちなみにここ書いてありますけれども、埼玉、千葉、なので、23区は今の時点でももう不足してますと、千葉も不足してます。ただ、埼玉とか多摩、それから神奈川で収容している、というのは今なんですけど、それはもう全部駄目になってしまう。足りなくなってしまう、というような状況をどうやって解決していくのか。増えることは確実なので、そこに対して手を打たないと、いや無理です、こんなことになってしまうと、また、保育園で今いろいろな、これも安倍政権の政策の中心に一気に踊り出ちゃいましたけれども、保育園探しで、待機児童問題と、いつまでたっても解決しないという話。これが、高齢者、それから認知症の方々に関しても出てくる、という話です。

これも、皆さんよくいわれてることなので、今更、くどくどと申し上げることございませんけれども、高齢者になって日本の平均寿命っていうのは相変わらず延び続けているんですね。延び続けてるんですけども、その中で健康寿命、健康上の問題で日常生活が制限されることがない、普通に歩いて普通に食べられる、という健康寿命と、それから平均寿命の乖離というのがあります。男性は9.13年ずれてんですね。つまり、平均して70.42歳より上、というのは、79.55歳まで生き続けておられるんですけど、この間は基本的には、日常生活が制限されるという状態です。その典型が、認知症であり、あるいは要介護の方々、ということだと思います。女性に関してはさらに増えるんですね。これはよくいわれてるんですけども、特に女性に関しては、骨粗しょう症の話が結構ありまして、急に転んで、それで大きい骨折っちゃって、一気に不自由なところが進んでしまう、といったこともあるというふうに聞いております。

いずれにしても、この健康寿命といわゆる平均寿命の乖離、これを何とか縮めないといけない、といっても平均寿命を下げる、というのもなかなか夢がある話でございませんので、健康寿命を上げるということですね。2020年までに健康寿命一歳以上延伸するということがあって、毎年0.何歳っていうふうに上がってきてはいるんですけども、これが達成できるのか、というところが一つの課題になっています。

あと認知症の話です。認知症も、これもいろいろな仮定に仮定を重ねた数字なんですけれど、政府に提出されている数字です。2012年における認知症の有病者数を仮に460万、ある一定の集団を、これですね、久山町の研究のデータから推計した有病率ですけど。これを462万人とすると2025年には700万人、もうほぼ倍増ですね。さらにそれがどんどん増えていくと。2060年に850万人。このころ日本の人口がどうなっているのかというと、1億は割り込んでるとは思うんですけれども、そういった勢いで増えていくという状況でございます。

これも冒頭申し上げました、社会保障費はどんどん増えていくと、直線的に伸びてますよね。これがこのまま直線で続くのか、というのもあって、こっから更に急な坂になるかもしれないということでございますので、何とか抑えていかないといけない、ということです。将来推計もどんどん増えていく、ということですね。

■ 地域包括ケアにおけるICT利活用の方向性

ここからなんですけれども、これに対してICTで何ができるかというと、当然のことながら全てを解決する、ということはないと思います。いろいろな地域包括ケアのための制度的な枠組みとか、あるいはお金が流れる枠組み、こういったものというのは、政府全体として、特に厚生労働省が中心となって進めてかなきゃいけない。ただ、その中でICT、つまり情報通信機器を使えば、今よりももう少し良くなるんじゃないかといわれる、考えられることはまだいくらでもあります。

ただ、皆さん本当にこれは日々感じておられるとおり、介護というのは日々現場なんですよね。現場にスマホならば皆さん持ってるかもしれませんけれど、そういったICTの機器を導入すること、これ自体がすごいハードルなんですね。私たち普段忙しいのに、なんでそこまでやらなきゃいけないの、手間増えるだけじゃない、みたいなことも結構あったりします。実際、手間増えるんですよね。実際、手間が増えて、最初面倒くさかったりするんですよ。
後で話しますけれども、特に在宅介護の世界というのは、これも皆さん本当に釈迦に説法だと思いますけれども、基本的には多職種の連携でいろいろなスタッフの方が家に入ることになる。いろんなスタッフの方々は、その日その日の患者さんの状態をノートに書くわけですよね。ノートに書いて、それを次に来た人が見て、この人こうだったんだ、じゃあこうしようみたいな形で、そこで情報が伝達されてくのが、今の普通の在宅介護の姿だと思います。
でもそれって、なんだ、じゃそれスマホ使えばいいじゃん、とよくいわれるんですよね。スマホとか、タブレットとかで、実際そういうサービスたくさん出てきてます。スマホ、タブレットでその日の状態をピッピッというふうに、書き込むのは難しいかもしれないから、なるべく定型的な文章にして、ピピピッてその場で入力すれば、ネットワーク介して、家に行ってノートを見なくても、みんなでそれを共有することができる、素晴らしいじゃないですか、という話があったりします。
ただ、そこにはまだまだ盲点があって、全員がスマホなり、タブレットを持ってるわけじゃないってなると、相変わらずノートも残さざるを得ないんですよね。そうするとノートと、スマホ、タブレット、どっちも入力しないといけない、これ二重入力の問題といってますけど、単に手間が増えてるだけで、そういった導入だと、いつまでたっても、現場で働く方々がメリットを感じて、これならいいじゃない、というふうになかなかならない。なので、これはある程度思い切った投資が必要だと思っています。やるならきちんと徹底してやらないといけない。そういったところに今、差し掛かってるんじゃないかと思っています。

その話は、後で個別の各論で申し上げますけれども、ICT使うと何がいいのか、というと、基本的にはこの二点だと思っています。ネットワーク化とデータの活用ですね。ネットワーク化というのは今、申し上げた、スマホ、タブレットでピピピの世界なんですけれども、病院、それから介護施設、あるいは在宅ですね。そこに集まるいろいろなケアマネの方々とか、訪問看護の方とか、訪問薬剤師の方とか、そういった多職種のスタッフ、そういった方々が情報を共有化して、1人が患者の情報を、あるいは病院に行った時の診断情報、あるいは投薬の情報といったものを、みんなで共有することができれば、それで作業の効率化につながる。これ一つの理想としてあると思います。さっき現実はちょっと申し上げちゃいましたけど。このネットワーク化、ICTで地域の人々をつなぐという話。

もう一つはデータの活用ですね。さっき診断情報って申し上げましたけれど、病院行った時の診断情報とか、あるいは検査のいろいろな数値、それから、投薬の情報、こういったものというのは、患者さん一人一人にひも付くデータなんですよね、結局のところは。これが、今、病院なら病院、薬局なら薬局、介護施設なら介護施設、それぞれで溜まっている状態です。場合によっては、それが施設ごと、さっきのノートだったりするかもしれませんけれども、結構、最近はパソコンで入力される方も多くなっているので、デジタル化は進んできてると思います。ただ、それがデータが溜まっているだけなんですね。後から見ることができる、それはそれで便利かもしれないんですけど、それだけなんですね。それをきちんと活用していきましょう、ということがあると思います。

ここで、ちょっと面倒くさいこと書いてありますけれども、高齢者の健康、医療、介護等データの価値を本人に還元する、意味がよく分かりませんけれども、基本的には、さっき申し上げました、いろいろなデータって患者さんのものなんです。患者さん本人のものなんだから、これは本人に返せばいいじゃないかと、返す先、何だというと、例えば、スマホでいろいろな病院の検査情報とか、診療情報、レセプト情報だったりする。あるいは投薬の情報、こういったものが本人がスマホを見れば、見れるようにする。あるいは本人がご高齢の方だとすると、本人のご家族が見ることができるようにする。そのご家族が見ることができる、というのが一つ。

さらには、例えば在宅で、いろいろなセンサーとかいろんな機器が出てきてます。体重、血圧、こういったものはもうネットワークにつながってますし、それ以外に例えば、体温とか、睡眠状態とか、そういったものをセンサーで感知して、検査データとひも付けると、例えば、今日はこんな運動プログラムがいいんじゃないか、と出てくるとかですね。いろんなサービスが考えられると思いますね。そういったデータを活用したサービスで、こういった地域包括ケアで携わる患者の方々、それからスタッフの方々が、便利になる、ということが一つの将来の姿なのかなと。その辺の将来像の話は、後程申し上げますけれど、このネットワーク化とデータの活用っていうのは、この健康、医療分野では二つのキーワードになってます。

■ 医療・介護分野のICT化の進展

ちょっと戻りますけれども、これ医療の話です。医療の話っていうのは、皆さんも大体お分かりになると思いますけれど、病院の情報化、というのは、最初は部門別なんですね。医事会計システムとか、検査物品管理のシステムの電子化、これ70年代ぐらいですけれども、この辺から始まりまして、そこからオーダリングとか、画像共有とか、だんだん電子カルテが、ちょっとずつ増えてきた。レセプトのオンライン、これは診療報酬の話とつながって、レセプトに関しては、電子化ほぼ進んで、そのデータも何十億件と集まってきているという状態ですけども、こういった形でだんだん情報化、というのは進んできたんですね。

今、このICT、私のもともとの役所の世界ですけれども、これ医療の話じゃないです。ICT全体として、スマートフォンとか、クラウドとか、センサーとか、ビッグデータ、いろんなキーワードありますけども、こういったものが普通に使える状態になってきたということになって、いよいよここで地域の医療の連携システムとか、あるいは遠隔医療のシステムとか、あるいはスマホを使って、医療、介護、健康、さっき申し上げたような話、それがPHR、パーソナルヘルスレコード、個人の健康状態の記録ですね。こういった世界がいよいよ現実化されてきたということです。

ここで書いてあるものは、結局のところはネットワーク化と、それからデータの活用なんですね。さっき申し上げたとこです。この二つのキーワードで、これから先の医療、介護分野のICTというのは、ほぼ語られると思います。安倍総理も同じこと言ってんですね。今年の産業競争力会議で話したことなんですけれども。ありがちなこのIoT、ビッグデータ、人工知能時代の到来に伴う、これは枕ことばとして、ICT分野、ヘルスケア分野を成長産業にということです。

これはマイナンバーに関係する、医療等分野の番号とか、医療保険のオンライン資格、これは普通に導入されてくんですけど、二つのやつで、地域医療情報連携ネットワークの全国普及、これはいわゆるネットワーク化の話です。それから、代理機関という、ちょっと面倒くさいんですけど、これは個人の医療健康情報の活用。要するにデータの活用ですね。ネットワークとデータの活用、というものを進めて、医療、介護の分野のICT化を進めて、ヘルスケア産業を成長産業していくということが、日本の成長戦略として、インストールされてる状態なんですね。さっき2020年度まで、と申し上げました。ここも2020年度あります。健康、医療分野のICT化っていうのは、2020年度までの5年間を集中改革期間とすると、さっき申し上げましたけれども、ここの目標に向けて加速していくというのが今の立ち位置になります。

■ 医療情報連携基盤の全国展開に向けた現状と課題

そのキーワード別に、少し各論を掘り下げてみたいと思います。まず、ネットワーク化のところですね。ネットワーク化のところは、これちょっと医療に若干偏ってますけれども、病院とか、あるいは診療所とか、あるいは薬局とか、そこに介護施設もつながってくる、そういった地域の医療情報連携基盤というものが考えられます。これは、実は既に結構あるんですね。170程度と書いてありますけど、既に200以上あるっていうふうにいわれています。病院とそういった地域のいろいろな拠点が、ネットワークではつながってるんですね。ただ、これもさっきの私の総務省の立ち位置で、インフラは一流だけど中に流れるものがまだない、と言いましたよね。それとほぼ同じことです。つなげたんだけれども使われてない、というのが今の状態なんです。

何かっていうと、やっぱりこれネットワークつなげると、病院を中心とした大規模なITのシステムが導入されるので、結構高いんですね。高コストなんです。これが導入コストが高くて、しかも5年ごとに更改という話になってしまうと、もうとてもじゃないけど、ペイできないんですね。そうすると参加する病院、病院はまだ大病院だからいいかもしれないんですけども、個人経営の診療所とか、あるいは薬局とか、それこそもう介護の現場が、利用料を払ってこのネットワークに参加するかというと、答えはノーなんですね。そこまでのメリットも感じられないし、とにかく高いというところで、まず参加する、参加率が低い。まだ、本当に病院に関しては14.3%、診療所に関しては4.1%という数字なんですけれども、ネットワークはあるんですけども、要するに回線はつながってるけども参加する病院、診療所等の施設が少ないと。
さらには、診療情報は患者さんの情報だっていうふうに申し上げました。いろんなところで検査されたり、投薬されたり、という情報は、もちろん一人一人の個人に帰属するものです。ですので、ネットワークは、病院とか、診療所とか、薬局で働くプロの人が見るんですけれども、そこに流れるデータは患者本人のものなので、流すためには患者さんの同意を取らないといけないんですね。

今、いろんな170、200以上のこういった医療情報連携ネットワークで何が行われているかっていうと、病院で診察を受けた患者さんに、こういう便利なシステムがありますと、例えば、あなた今、病院来ましたよね、病院でいろんな検査受けたでしょうと、これがあなたのかかりつけの地元のクリニックに行っても、同じ検査データを見れるようにする、これいいと思いませんか、あ、それいいですね、で、そうすると二重に検査をしたりとか、あるいは投薬も、多大投薬で重複でいろんな薬をもらったりってこともなくて、患者さんの最適な薬も管理されるし、無駄な検査もなくなっていいじゃないですかと、それはいいですね、では、それについては、このネットワーク上であなたの情報を流すことに同意をしてくださいって言うんですね。そうすると患者さん急に、えって話になる。ネットワークで流す、何それ、で、一気にそこで不審な感じになって、ネットワークで流しちゃう、私の情報が勝手に流れちゃうの、漏れちゃったらどうすんの、悪用されちゃったらどうすんの、そういう話になっちゃって、そこで同意が全然取れないんです。
今、これは推計なんですけれども、日本全国でネットワークで患者が登録して流れる、とていうのが1%、100万人程度の患者さんしか同意してない、というふうにいわれてます。今。いろいろな現場で先生方、それから事務スタッフの方々の努力でだんだん増えてきてる、というふうにはいわれてますけれど、まだまだ数パーセントっていうぐらいだと思います。この同意の取り方って一つのネックなんですけれども、これは、病院だけではなくて、介護の中での情報の連携をしたときも同じです。患者さんの同意をきちんと取らないといけない。同意に外れたもの、というのはやっぱり情報流せない。個人情報保護法の世界になってきますので、この同意の取り方というのは、一つの大きな論点になります。この辺はまた、後程ご説明します。結局のところ、この1枚で申し上げたかったのは、ネットワークあるんだけれど、まだまだ使えていない。それ使えるようにしないといけないんじゃないですか、ということなんですね。それを、先程からずっと申し上げてる、2020年までにどれだけ進められるのかっていうのが一つの鍵になってきます。

さっき、コストが非常に高いって言いました。コストを下げるっていうのは、それはわれわれの得意分野になってきて、クラウド活用して、病院内にデータを置かなくてもいいじゃないですかと。皆さん言うんですね、病院内に置くから安心なんだと、そこから漏れないんだ、と言うんですけど、クラウド事業者ってある意味堅牢な金庫を提供してるようなところなんですね。そこにデータを預ければ、病院内に高いシステムを入れなくても済む。あるいはクラウドの中でどんどんサービスがアップデートされるんで、さっき申し上げた5年ごとの更改なんていうのも、ほとんどいらなくなる。ということで、クラウド活用するとコストは大分下がる、というのは、もう一般的にいわれてる話です。そういった低廉な医療情報ネットワーク、というのをモデル化してみましょう、というのを、一つわれわれ進めてきました。それ、各論でこの後すぐに申し上げます。

もう一つが、同意の取り方だと思いますね。さっき言ったように、ネットワーク上であなたの情報流すことに同意してください、と言うと、えって話になってしまう。だとすると、患者さんにメリットを感じてもらわないといけないので、ここですね、サービスの付加価値を向上させて、情報連携のメリット訴求することで患者の参加を促進する、こんなサービス使えるんだったらいいじゃないですか、という話です。そうすると、患者さんが例えばアプリで、こんな情報が欲しいというふうにポチッと押せば、それが同意になるわけですね。だから患者さんが自分でメリットを感じて情報を活用できるようにする、それがさっきから申し上げてるPHR、パーソナルヘルスレコードの一つの肝となる考え方だと思ってます。この二つで、これは進めていきたいな、というふうに思ってます。

■ 「ネットワーク化」に関する総務省の取組

クラウドの話、申し上げました。所謂、医療情報連携基盤ていうのは、皆さんご存じかもしれませんけれども、二つの大きなベンダーの事例があります。この二つが全国で大きなシェアを持ってますね。病院圏ごとにこっちのヒューマンブリッジというシステムを使ってたり、アイディリンク、というシステムを使ってたりします。ここのデータの連携、というのは標準化はされてるんですけども、なかなか難しいんですね。

これ岡山の例なんですけど、岡山で、ある医療圏Aがこれを使ってました。ある医療圏Bがこれを使ってました。それ以外のところで、まだシステムを構築していないところがあります。ただ、構築していないのには理由があって、皆さん診療所なので電子カルテもまだ導入してないので、大規模なシステムを導入するコストがありませんよ、となったときに、クラウド上でレセコンから必要最小限のデータ、これ、電子カルテのデータではないです。本当に診療情報と、それから投薬情報と、それから検査回数ですか、そういった情報になりますけども、それだけでも共有する価値があるということで、クラウド上でそれを共有できるシステムを作って、そこと、この既存の大手のベンダーのシステムを双方向でつなぐものを作ったんですね。そうすると、今までというのは診療所に対し、診療所と病院が連携しても、病院のデータを診療所で見ることはできるんだけれども、診療所のデータを病院で見ることはできない、一方向のデータの流れが多かったんですけど、ここは双方向にしてみたら、それだけでも先生がたのメリット、というのは多かったといわれています。

さらにはコストの話ですね。ここに新しいこれを導入するよりも、やっぱりクラウド上でやるだけで半分のコストでした、ということです。1ヶ所でこうだったので、これ進めてくと、どんどんコストの削減効果って出てくると思うんですね。さらには更改のところもクラウド上で済んでしまうので、更改コストも下がるということで、こういった低廉なネットワークというものを、これから導入する医療圏では考えていただきたい一つの鍵になるのかな、と思います。

介護も同じなんですね。介護も今、いろいろな在宅医療介護の情報連携システム、といういろんなものが出てきています。ここ自体が情報がここで閉じてるんですね、それぞれですね。情報の流通がない。問題は、介護の世界になると一気に多職種連携が進むと。特に都会とかだと、いろいろな会社の介護のスタッフが入れ替わり立ち替わり、在宅に入ってくるということからすると、一つのシステムで閉じてるなんてこと、恐らくあり得ないんですね。そうすると何が起きるかっていうと、それぞれの介護のスタッフはその所属する事務所なり、会社の中ではこのシステムを使いますと。ただ、介護の現場に行くと、それでは情報が伝わらないのでノートに書くと、冒頭申し上げたノートがいつまでたっても残ってしまう、という話なんですね。

それを、少しでもやめたいと、一つの工夫は、このシステムの中でさっきの二重入力をどうやってなくすか、それはシステムそれぞれで解決してけばいいんですけれども、システムをまたがった時に、それができなくなってしまうと、それは困ってしまうだろうということなので、ここに被せるような、これもクラウド上に在宅医療介護情報連携基盤というのを作ってみました。これも国がこの事業を運営するわけではないので、実証実験として作ってみています。ただ、この実証は一つ価値があるのは、これに参加するシステム、というものが、いろいろ多彩なシステムをそろえることができたんですね。というのは、実証フィールドをいくつか複数のところでやったので、実際の実績として、今、在宅医療介護システムを開発されている企業の大体6割分のシェアにあたる企業が、この情報連携基盤と接続しました。そのAPIを公開しているということなので、これから先こういったシステムを開発する人たちが、そのAPIを実装すれば、この情報連携というのは進んでくる、ということは考えられるので、この取り組みもぜひとも続けていきたいなというふうには思っています。

あとは、情報連携自体もクラウドでできちゃうんじゃないか、という、さっきの医療版のところの拡張なんですけど、これはソフトバンクさんが提供されてるメディカルケアステーション、というもので、まさに患者さんの、特に介護施設が念頭に置かれると思いますけど、それ以外に病院とか、患者さんの情報とか、写真だとか、連絡ノートだとか、紹介状だとか、報告書、これを全部クラウドに上げて、そこで共有できる。これは、スマホレベルでできちゃうんですね。だとすると、細かいシステムを構築する必要もなく、ソフトウェア的にできてしまう、ということで、これは、在宅医療介護の現場に急速に普及しているというふうに聞いておりまして、こういった取り組み、というのもさっきの情報連携を加速する一つなのかなというふうに思います。

もう一つは、やっぱりこのスマホをもう少し使い倒してもいいんじゃないか、と思うんですね。皆さん、スマホは特に説明書とかなくても、結構使いこなされてますよね。もちろん、高齢者の方々なかなか難しいかもしれません。それから忙しい介護のスタッフの方も、これからスマホなのって身構える方もいらっしゃるかと思いますけれども、でも使い始めれば、恐らく直感的に皆さん使い始める。LINEを使われてる方、というのは、この中の皆さんほとんどだと思いますけれども、やっぱり高齢者の方々、お友達とかがスマホを買いました。あたしも欲しいわ、と言って、さんざん迷ってお子さんだとかお嬢さんの意見を聞いた上で、ようやくスマホを買いました。最初にやるのはやっぱりLINEなんですね。そこで文字入力してスタンプ押して、これ楽しいじゃないか、と言って、それですぐに使いこなせるようになっちゃってですね。娘だとか孫に、なんか変なスタンプ送っちゃったりとか、そんなことって日常茶飯事だったりするんですけれども。このLINEの使い良さ、というのは、もう少し深掘りしてもいいのかなと思っています。

ここでちっちゃい絵で恐縮なんですけど、これはお医者さん版のLINEなんです。今、実用化されてるサービスは、これそのものじゃないんですけど、実用化されてるのは、先生同士で、特に脳卒中関係の先生方が、患者さんが搬送されてから3時間以内に手術までしないといけない、というときに情報共有をなるべく早くすると、それから経験の浅いスタッフだけではなくて経験の積んだ先生方も情報交換して、こんな手術方針にすればいい、ということを瞬時に合意形成するために作られている、お医者さん同士のLINEで、何がすごいって、ここでもうCTの画像とかレントゲンの画像とか全部見れちゃうんですね。当然のことながら拡大すれば、きちんと見えてしまうということで、お医者さん同士でこれ、医療現場の効率化、それから実際の手術の短縮につながっているということで。

それ自体は、次のタイミングで保険収載も決まっているJoin、というサービスなんですけれども、それをお医者さんに閉じた世界でやらなくてもいいだろう、こっちが例えば病院だったとしても、介護施設とか、在宅のスタッフが、モバイル機器を使って、それで患者さんの状態をパシャパシャ写真撮って、先生方とやり取りすれば、難しい大規模なITベンダーのシステムを使わなくても、さっき申し上げたこの辺の医療情報連携に近いところまでほぼできてしまう。電子カルテまでここでやる、というのは、なかなか現実的じゃないと思うんですけれども、日常の情報のやり取りはできてしまうんですね。

これはぜひとも進めていきたいな、というふうに思っていて、ただ、若干課題があって、病院内のシステムと、それからクラウドまで、というのは、ここはもうセキュリティーが万全であるとガイドラインができてるんですけど、クラウドから皆さんの携帯までのこの回線というのは、どんな回線使ってるか分かんないですね。例えば、スターバックスでWi-Fi使って、そこでやり取りしましたみたいな話になっちゃうと、誰でものぞき見できるような話になってしまうので、ここのセキュリティーをどうやって確保するのか、結構問題になってます。逆にここのセキュリティー堅牢にし過ぎると、ここでコストが掛かっちゃうんで逆にまた使いにくくなってしまうんです。そこのさじ加減をきちんと決めないと、サービスっていうものもきちんと普及しないだろうと、皆さん所謂グレーゾーンみたいな感じで、企業自体もサービスの開発とか提供に躊躇してしまうだろう、ということがあるので、ここのセキュリティー要件というのは、政府としてガイドライン整備しないといけないと思ってます。それさえできれば、今、本当LINE延長なんですね。LINEをちょっと作り変えるような形で、遠隔医療とか、医療介護連携ができてしまうということなので、廉価版の医療介護情報連携というものを広げていきたいな、というふうに思っています。以上がネットワーク化の話でした。

■ 「データ活用」に関する総務省の取組

もう一つがデータ活用の方です。よくいわれてます、IoT、ビッグデータ、それから人工知能、ディープラーニングだと。最近も人工知能で、囲碁でコンピューターが世界最高の棋士に勝ってしまいましたみたいなのがありました。こういった、ネットワーク上のデータの活用っていうものが健康、医療、介護分野だけではなく、どんどん進んでってるわけですね。今までは、それこそホームページを見にいったのが象徴的ですけれども、基本的にはデータってものがネットワーク上にあって、それをパソコンから見にいくということが多かった。例えば、音楽データだとか、動画コンテンツをスマホに落として見ると、こういうデータのやり取りだったんですけれども、ここから先、さっきのセンサーだとか、あるいはスマホとか、そういったものが普及してくると、端末からネットワークに上がってく情報が、今と比較にならないほど、多くなってくんですね。

それがどうなるかっていうと、ここにすごい情報がたまってくる。このデータを活用しない手はないだろうといわれていて、そこで有望視されてる分野が、セキュリティーであり、工場であり、農業であり、小売りであり、その中にヘルスケア、これがいわゆる医療、健康、介護分野ですけれども、こういったもの、こういった分野もやっぱりデータの活用、というものが有望視されてる。実際に、世界各国でサービス開発がされているというのが、今の実情です。

今までは、こういうウェアラブル、これは普通の時計でウェアラブルでも何でもないんですけど、いろんなウォッチだとか、あるいは体に身に着けて活動量を測るとか、いろんなデバイスが出てきました。実際、ヤマダ電機とか行くと、健康器具のコーナーというのは、どんどん売り場面積増えてます。ただ、まだほとんどは見て終わりなんですね。見えて、これだけ今日頑張ったんだ、と満足しておしまい。なので、所謂、健康に敏感なとか健康オタクというか、そういう人たちがそれを一通り買うと、だんだん売れなくなってきちゃうんですね。それだけじゃサービスは広がらないと思っていて、ここでいくつか例出してんのは、例えば、歩数に応じて保険加入者に対して、ギフトカード還元するとか、あるいは運転手さんのセンサーから眠気を検知して、実際に交通安全に結び付けるとか、あるいは保険料を抑制するとか、そういう単に見えるだけじゃなくてサービスに結び付けたところ、というのがいくつか出てきてるんですね。これを、さらに加速させたいということです。

いくつか例があって、これは若干分野が違うんですけど、データヘルス、要するに保健指導の世界なんですけれども、広島県の呉市では、患者さんのレセプト情報を分析するアルゴリズムを開発したんです。データホライゾンという会社が。それを見ると、この人は糖尿病の重症化リスク高い、というのが、もう分かってしまう。分かってしまえば、その人に対して集中的に健康指導すれば、透析患者になることを防ぐことができる。透析患者になると、年間500万とか600万と掛かりますから、透析に掛かる患者を1人減らすだけで500万、600万の医療費の削減なんですね。さらにレセプトデータを見れば、どういう薬が投薬されてるか分かるので、ジェネリックじゃなければ、あなたジェネリックにするとこれだけ安くなるんですよ、と数字で示す、そうすると、そうなんだ、と言って皆さんジェネリックに切り替える。それだけで、この呉市だけで2.9億円の医療費削減ができたんですね。

データ活用した一つの例。これ呉モデルといって、いろいろなとこで広げていきたいと思ってるんですけど、なかなか広がらないのは、特別な、ここでしかうまくいかないんじゃないかと思っちゃってるところが他の自治体さんにあって、なかなか広がらないんですけど、これはどんどん広げていくべきだと思います。

もう一つが、まさにPHRそのものなんですけど、ルナルナ、という結構昔からあるアプリ。もともとはパソコンのホームページでやるサービスだったんですけれども、女性の妊活、妊娠に向けて、女性が自分の体温とか、いろんな健康情報を入力するんですね。そうすると、その精度の高い排卵日の予測とか、妊娠確率高い日を予測する、ということで、これ有料サービスなんですけれども、数百万人単位の有料、月、例えば300円だったりするんですけども、それを登録して、しかも、自分の健康情報を進んで入力してんですね。何でか、というと、ここのメリットがあるから。メリットがあれば利用者は動くっていう一つの例だと思います。こういったサービスをどんどん開発していけば、データの利活用が進むんじゃないかな、というふうに思います。

今までやってる取り組みは、そのPHRの一歩手前のとこまででした。市町村が持っている医療介護の関連情報と、それから住民のそれこそウェアラブルみたいなところの健康データを活用すると、介護予防サービスというものが、うまくいくんじゃないか、これ神戸市でやってる話なんですけれども、その取り組みというのをやってみました。実際に、コストの削減とか、最適なサービスの選択、というところまでいったというふうには聞いています。

もう一つがデータの活用の一つ別のあれなんですけれども、これ福岡市で民生の方々が、単身の高齢者を見守る時の取り組みなんですけれども。単身の高齢者なんで、皆さんがスマホ持ってるわけじゃないので、これはガラケー使ってます。ガラケーにこのチップがあって、それで位置情報を取得する。で、クラウドで管理するんですね。そうすると高齢者の動きとか、あるいは高齢者が1日1回ボタンを押すと、きちんとそこで生活してることが分かる、ということで、それがなければ、これまずいという、本当に非常に簡単なシステムなんですけども、それで地域の民生委員が単身の高齢者を見守る、ということを実験してきました。これ自体も見守りに対する行政コストを低減する、ということはあるので、こういったデータの活用、というのを一つ考えられるのかな、というふうには思います。

■ PHRと地域包括ケア

そこからさらに進めたのが、さっきから申し上げてるPHRです。これは事細かに説明しませんけれども、去年、厚労省と総務省でクラウド時代の医療ICTの在り方に関する懇談会、というのを検討して、そこで大きな柱があったのはここですね。個人が健康、医療、介護情報をクラウドを使って管理活用する仕組みの在り方、ということを何度もご議論いただきました。そういってもなかなかイメージが湧かないので、これですね。皆さん、母子手帳から、それから薬手帳、疾病管理手帳、介護予防手帳、それから今、医師会が勧めてる、かかりつけ連携手帳、いろんな手帳あるんですね。やっぱり日本の文化って手帳なんですね。この手帳を電子化しましょう、というのが一番分かりやすいんです。薬手帳、皆さん、調剤薬局行ってお薬手帳持ってますか、と言って、忘れました、新しく作りましょうね、あるいは、じゃシール出しときますから家帰ったら貼ってくださいね、と言って、家帰っても貼らないみたいなこと多いと思うんですけど、スマホは皆さん持ち歩くので、これでお薬手帳アプリを入れとけば、そこでお薬手帳を管理できちゃうじゃないですか、という話ですね。

実はこれが人の一生なんですね。出産から入学、就職、退職、介護、見守りまで。ずっとあるわけですけれども、それぞれでいろんな情報っていうのは今リアルにもらってるんですけど、そこの管理がうまくいってますかっていうと、母子手帳は残ってたりするんですね、皆さん。僕もまだ自分の子供のころの母子手帳が家にあったりしますけれども。きちんと管理されていること実は結構あったりするんですね。これが一番難しいけど、健診情報紙ペラなんで、大抵1年に1回の健診で見て、それでどっかいっちゃうみたいなことあると思いますけど、これが全部時系列で管理されれば、少なくともこの本人の情報、というものはネットを見れば分かります。そこに例えば、日々のバイタルのデータ、あるいは何を食べたかとか、どんな運動をしたかとか、という、このスマホで連携できるような情報を組み合わせれば、本人の今の情報と、これまでの情報が組み合わせられれば、ここから先何をすればいいか、というリコメンドにつながったりだとか、あるいはもう少し、医療費の削減につながるような保健指導につながったりとか、そういったいろんなサービスが出てくる、ということを考えています。

介護の世界でいうと、病診連携と医療介護連携、ほぼ同じような文脈で考えてるんですけど、今まで話した話で病院とか、訪問看護ステーションのかかりつけ医、かかりつけ薬局、いろんなところでいろんなデータが集まるんですけど、これをネットワークでつなぐのはもちろんいいんですけど、それをいっぺん本人に戻しちゃうわけですね。本人がいろんなところに行った時に、スマホ一つ見せればいいじゃないですか。それに、いろんなバイタルデータを組み合わせると、いろんなサービスが可能になると。それから離れて暮らす家族とも、容易に情報共有ができるということになります。

さっき日本医師会のかかりつけ連携手帳の話しました。今はかかりつけ連携手帳、というのは紙です。お薬手帳と同じ。レセコンから出てくる診療情報とかをペタペタ貼り付けるんですね。これ三師会で連携してるので、例えば、歯医者さんもこれ使うことができるので歯式のデータも、シールになって出てくるので、それで貼り付ければ、お年寄りもどこに行って、どんな診療受けて、どんな投薬を受けられたか、というのが、きちんと分かるんですね。これをスマホに上げる仕組みっていうのを今、作っています。これもできてもそのうち私も支援していきたいと思っているんですけれども、こういったものがきっかけになって、さっきのうまくいってないという医療情報連携、というところが回り始める流れになるんじゃないかな、というふうに思います。

■ 地域包括ケアを支えるICTの将来像

最後が、ここが将来像を、ごちゃごちゃした絵で大変申し訳ないんですけれども、これが医療機関同士の連携ですね。中核病院、連携病院、ここがかかりつけ診療所だと思ってください。ここで患者データ、というものは共有化する。これは、医療情報連携基盤の話です。そこに多分、ケステステイになるのがかかりつけの診療所だと思うんですけれども、ここから地域包括ケアの世界が広がるんですね。まずは、本人が在宅でいるか、介護でいるかですけれども、ここに対して訪問看護の人たち、訪問介護の人たち、訪問薬局の人たちが関わる、さらには家族がそれを見守る、ということなんですけど、ここにデータ連携、それから情報共有というものを加えるとどうなるかと、そうすると在宅にいる時に、本人がいちいち入力しなくても、例えば、ウェアラブルのセンサーとか、非接触のモニタリングとか、体の動きを判定するようなセンサーも非常に安く出たりしてますので、そういったものを実装すれば、本人の状態というものが溜まってきます。

さらには、この辺は若干おとぎ話になってきますけど、コミュニケーションロボット。ま、おとぎ話じゃない、今日も会場にたくさんペッパーくんとか、介護ロボが出ていますので、まさにそこが、総務省としてもこれ進めていきたいんですよ。コミュニケーションロボットが介護施設にあると、そこでのやり取り、というものがここにたまってくるということですね。そうすると患者の状態が非常に正確に分かる。

分かるとどうなるかっていうと、一つは、家族がそれを見ると、今、田舎で介護施設にいるお父さんお母さんこんな状態なんだ、というのが分かるっていうのありますけども。例えば、ここにたまってるデータの中で、ある一定の、血糖値が上がりましたとか、体温が上がりました、というとこにアラートを出せば、そこで、かかりつけの方が、アラートを見て、それで訪問看護ステーションに連絡をして、ちょっと見てきてください、この見てきた訪問看護ステーションのナースの人たちは、モバイルでこのお医者さんとの間で、さっきのLINEみたいな話ですよね、患者の状態とかを共有して、それで適切な診療というものを行うと。これは病院に行った方がいいということであれば、このデータとこのデータが連携して、中核連携病院に行った時に、ここに溜まっている情報っていうのは先生が見ることができて、普段どんな生活を送ってきたのか、どんなものを食べてきたのか、どんな薬を飲んできたのか、ということが分かると、そうすると効果的な治療ができる、ということを一つのゴールなのかなというふうに思ってます。

さらには、そこから先ですね。こういったとこにたまったデータっていうものを、フィードバック、活用して、情報の二次利用の話になるんで、さらに冒頭申し上げた同意の取り方、というのは難しくなるんですけれども、二次利用して、例えば、研究機関で活用するとか、あるいは製薬業界で活用するだとか、あるいは介護の方のサービス開発に使うだとか、そんなことができるといいのかな、というふうに思います。

最後がデータの活用のところです。これは政府全体の取り組みなんですけれども、ちょっと見にくくて恐縮なんですけど、ここは個別の病院です。病院にいろんなデータがたまります。それ以外に今のPHRの世界ですと、診療所とか、薬局、それから学校、いろんな検査データ、というものがPHRの提供事業者のとこにたまってくんですね。これを二次利用すると、新たなヘルスケアサービスの開発につながったりとか、あるいは製薬とか、研究開発につながったりとか、研究控えにつながったりとか、あるいは自治体の政策のチェックに使ったりと、いろんな使い道ができるんです。そこはまだ全然できていないのが実情ですので、これを2020年に向けて作っていきたい、というのが政府全体の取り組みです。

政府全体というと、厚生労働省の方でいろんなデータ、というのはたまってきてます。これ自体も活用してくってあるんですけども、それ以外にいろいろな機関、国だけじゃないいろいろな機関が、病院の情報とか、こういうところの情報を活用して、データ産業というものを育てていく、というところまでいくと、ここでお金が回り始めるので、これでお金が回り始めると、ここのネットワークの維持の方につながってくるんですね。そうすると、さっきのコストの問題が、それで全て解決というところまではなかなかいかないと思いますけれども、そこまで持ってかないといけない。
少なくとも、欧州とか、あるいはアメリカだとかは、その方向でやっている。気が付くと日本でこれがうまくいかないと、また、Googleと同じです。アメリカの産業がここに入ってきて、ここで儲けてしまいます、みたいなことになってしまうので、それは何としても国として、我が国の国民のいろいろな健康情報に関しては、国として産業育成したいな、という思いがありますので、ぜひとも、ここまでつなげていきたい。ただ、そのためには前提として、ここの地域包括ケアのこの仕組み、というものができればいいなというふうに思っているのが、今の総務省の考えているところです。

というところで、ほぼ1時間が経過しました。すいません、一方的にベラベラしゃべるような話になってしまいましたけれども、皆さんのご参考に少しでもなれればいいな、というふうに思います。ご清聴ありがとうございました。

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